熊本地震の被災地支援のため、川崎市は継続的に職員の派遣を行っている。高津区役所では、5月20日までに9人の職員が現地の支援にあたった。被災地の状況や災害時に必要とされることについて、区職員5人に話を聞いた。
現地では、避難所運営、り災証明発行、健康相談の3分野を支援したという。
危機管理担当の並木麻課長(4月27日から30日)、木内亮太さん(同)、牛島祐一さん(5月9日から14日)、地域振興課の松本法恒さん(5月16日から21日)、保健師の菅原一子さん(5月14日から20日)の5人に話を聞いた(カッコ内は派遣期間)。
避難所運営支援
―派遣された避難所には、どのくらいの人が避難されていましたか
木内 熊本市中央区の竜南中学校で、物資の配給、訪れるボランティアの対応などを手伝いました。避難者数は日中と夜で変わり、夜が多く120人ほど。校庭には車中泊の車が10台ほど止まっていました。
並木 多くは周辺の集合住宅居住者が多く、建物の半壊、全壊による避難というよりは余震による不安が大きいようでした。
―避難所の状況は
並木 水や食料など物資は足りている状況でした。避難所には『リーダー』となる人はいなく、名簿もない状態。避難されている方も高齢者が多く、運営は教職員のほか熊本大学の学生、在校生、卒業生などのボランティアが中心でした。
―避難所運営で感じた課題はありましたか
木内 避難所と中央区役所の情報伝達が携帯のみで、情報共有が十分ではないと感じました。
健康相談
―どのような役割を担ったのでしょうか
菅原 一日目は各避難所を回り、避難している人の健康管理や避難所の衛生管理を。残り二日間は、0歳の子どもを持つお母さんに状況を確認する電話をかけました。
―避難者、または子どもの健康状態はどうでしたか
菅原 電話では、0歳児より上のお子さん、3歳児から小学生の子どもが「夜になると一人でトイレに行くのが怖い」「家に入りたくない」と不安定な様子を訴える声が聞かれました。また、避難所では、夜は余震が怖くて自宅に帰れない人、余震が不安で靴や荷物を手放せないという人も見られました。
り災証明発行
―り災証明発行業務を行った北区ではどのような状況でしたか
松本 北区は車も走り、働く人も見られ、比較的落ち着いているように見えました。申請者は1日70件ほど。混乱などは特に見られませんでした。
牛島 北区では(5月中旬までに)約5000件、り災証明を受付していると聞きました。「中央区では5時間待ちだから、北区に申請しに来た」「もっと大変な方もいるから、自分たちは後でいいと思って」という人もいました。
―被災地支援にあたり、必要だと感じたことは
菅原 「高齢の母親が地域の人におぶってもらい避難所まで行った」「乳児を抱える母親のために近所の人がミルク用にカセットコンロでお湯を沸かしてくれた」という話を聞きました。非常時に何人の方に「声をかける」「声をかけられる」か。地域の関係づくりは本当に重要だと感じました。
並木 実際に避難所運営の現場に入ってみると、様々な「想定外」の事象に対応する力が必要だと感じたし、住民の方もいざという時に困らないよう、地域の中で、普段から顔の見える関係をつくっていくことが必要だと再認識させられました。
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