持参してくれたスクラップブックには、20年間生み出し続けてきた作品がずらりと並んでいた。俳句に短歌、朝日新聞の「かたえくぼ」。「私の闘病記録のようなものです」と笑顔で話すのは、上作延在住の池田功(つとむ)さん(80)だ。
池田さんは定年退職後にがんを患い、何度か入院。病院のベッドの上で過ごす時間が多かった。そんな時、見舞いに来てくれた妻や娘に「天井ばかり見ていないで、何かしてみたら?」と言われた。そこで思いついたのが俳句や短歌。当初は新聞や雑誌に投稿してもなかなか採用されなかった。それでも他の人の作品を参考にしつつ、思いつくままに詠んでみた。すると、嫁ぐ娘に贈った俳句が「朝日俳壇」で入選。これを機に「特選」「入選」作品が生まれるようになる。
作品の多くは自分のことを詠んだもの。入院時に感じたことや経験したことをそのまましたためる。「退屈で、暇で、時間があったからできたこと。入選すると楽しい。友人から『読んだよ』と連絡がくることも多い」と池田さん。
現在は高津区文化協会の「高津萌句会」に所属し、月1〜2回の勉強会に参加。会員同士で互いの作品を批評し合っている。詠むときは「頭で考えてもダメ。パッと浮かぶものが一番良い作品」なのだそう。
「自分は楽天家。行き当たりばったりに詠んできた」と池田さんは言う。12月に開催される「高津全国俳句大会」にも6句投句済みだ。「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる、ですよ」。これからも自由気ままに詠み続ける。
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