3月の卒業シーズンを迎え、区内の各校でも卒業式が行われている。
久本にある川崎市立中央支援学校(荒井真理校長)では3月9日、高等部の卒業式が行われた。同校の卒業式では卒業証書を生徒が自分たちで作るのが毎年の恒例となっていて、この日も本校、分教室あわせて66人の卒業生が約半年間かけて作り上げた証書を荒井校長から受け取った。
卒業証書作りが始まったのは20年以上前から。当時同校に赴任した佐藤泰至さん=写真左=が前の学校で紙すきの指導を行っていたことから同校でも始まるようになった。
その工程は職人さながらで、原材料となる楮(こうぞ)の樹を煮て、熱いうちに皮を剝き、繊維を叩いて細かくほぐす。紙すきでは、溶液が均一に木枠に流れ込むように慎重かつ手早く行う。これらの作業を指導を受けながらも生徒が全て自分たちで行い、昨秋に行われた作業では緊張しながらも一心に取り組む姿が見られた。定年退職した今も毎年指導に訪れるという佐藤さんは「紙の一枚一枚に味があり、同じものは存在しない。卒業後に証書を見たときに、『自分たちで作った』ということが彼らの誇りになれば」と目を細める。
卒業証書以外にも、同校では職業訓練の一環として手作り和紙で葉書やコースターなどを作っていて、学校のバザーや地域のおまつりでも好評なほか、昨年の高津中学校の70周年式典ではPTAへの感謝状贈呈にこの和紙が使われた。
卒業式では一人ひとりが堂々と卒業証書を受け取り、見守った保護者や教職員から大きな拍手を受けた。また、別れのことばでは「この学校で過ごした日々はかけがえのない宝物。この宝物を胸に、私たちは未来へ歩んで行きます」と全員で声をそろえて高らかに謳いあげた。
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