都内銀座にある「中小企業会館」で先月下旬、企業経営者向けのセミナーが行われた。講師を務めたのは高津区で80年近い歴史のある「写真のたなかや」の鈴木克明社長。折からの新型コロナウイルス禍で厳しい環境に置かれる中小企業のトップを前に語ったテーマは「外部環境の逆風から抜け出すための術」。さて、その内容とは―?
広まった「合格神話」
一般社団法人東京都中小企業診断士協会が主催したこの催しには、会員約50人が参加。中小企業の経営者が大半を占め、講師の話に興味津々といった様子。そんな中、マイクを握った鈴木社長は、昭和16年に創業し、今日まで地元の写真館として堅実な経営を続けてきた「写真のたなかや」の歴史について語り「とりわけこの20年は非常に厳しいものがありました」と回顧。確かにデジカメの普及に始まり、携帯電話やスマートフォンにもカメラが搭載されるようになるに連れ、いわゆる町の写真屋さんは減少の一途。「ピーク時には全国に3万4千軒あった写真店は、現在では1万軒を切る状況」と苦しい現状を解説していた。
そんな外部環境の悪化に直面した状況下で鈴木社長が力を注いだのが「履歴書用の写真」。自身の愛娘の証明写真を撮影し、在京・地方のテレビ局4局を受験させたところ、数千倍の競争率を突破しすべて書類審査に合格。この”合格神話”が口コミで広まり、全国から年間約5千人もの利用客が訪れる繁盛店になったエピソードなどを話すと、参加者たちは真剣な表情でエピソードに耳を傾けていた。
「オンリーワンの獲得を」
鈴木社長の「オンリーワン(履歴書用の写真)を獲得し、商圏を拡げていくまでの流れ」のレクチャーは、図らずも新型コロナウイルスの影響で売り上げ減に悩む企業トップらにも大きく響いた様子。経営改善に役立つヒントを得た参加者は有意義な時間に満足そうな表情を浮かべていた。
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