地元エリアなどを流れる多摩川のアユ遡上数が、直近10年で最も少なかった事を受け(一財)神奈川県内水面漁業振興会(竹仲密昭理事長)が成魚の放流を実施した。
際立つ遡上減少
今年の多摩川のアユ遡上数は6月時点で推定約37万尾(東京都島しょ農林水産総合センター調べ)。直近10年で最も少なく、約333万尾の遡上が確認された昨年同時期、また1983年から昨年までの平均値(199万尾)との比較でも減少ぶりが際立っている。
この原因について関係者は「昨年秋の台風19号や長梅雨等の影響で多摩川が増水した状況が長期化。またアユの産卵期(10〜12月)に濁流となり、産卵に適さない状況が続いた事などが結果的に遡上数の減少につながったのではないか」と分析している。
コロナ禍の影響も
元々多摩川でのアユ釣りは「コロガシ」という手法が主流。愛好者も多く、今年も解禁となった6月当初は「遡上数が少なければアユの餌となる川底のコケが豊富となり良型に成長するのでは」といった期待論もあった。だがコロナ禍の影響で釣り人の姿も例年に比べてまばらといった印象。今夏「アユ漁業は大変厳しい状況になっている」(関係者)という。
ホースで一気に多摩川へ
同振興会ではアユ釣りの活性化を図る漁業振興対策事業の一環として、近年あまり行われていなかった「成魚」の放流を決定。8月19日に県内にある「厚木あゆ種苗センター」(厚木市)で成育されたアユの成魚約3千匹がトラックで運ばれ、ホースを伝って高津区内の多摩川流域に放たれた。竹仲理事長はこの放流について「(放流後も)暑い日が続いており、明確な釣果は不明」としながらも「9月に入り暑さもおさまる頃、放流したアユも20センチ程度にまで大きくなると思われる。期待してもらえれば」と話している。
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