熊本地震発生から1年。川崎市は2017年度予算の「かわさき10年戦略」で、地震防災戦略の推進を掲げる。各区における実践的防災訓練等の施策を進め、「大災害発生直後、まず自分の命を守ること」に重点を置き、市民への啓発事業を強化していく方針だ。
市は今年度予算の事業「国土強靭化・地震防災戦略の推進」に、前年度比約6億9千万円増の16億7321万3千円を計上。地域防災力強化等を拡充事業とし、市民意識向上を目指す。
昨年4月の熊本地震以降の主な取り組みとして、市はこれまで職員延べ386人(4月1日時点)を現地に派遣。数日間の短期から半年以上の中長期まで、避難所運営を行う事務職や保健師、建築職の分野で支援活動に携わっている。ここでの経験を踏まえ市は今年度、備蓄計画の改定やボランティアなど支援を受ける「受援」マニュアル素案作成を進めていく。
出前講座「活用を」
市危機管理室では町内会やPTAなど市民団体を対象にした「ぼうさい(防災)出前講座」を2006年に開始。被災地支援の経験談等を交えながら、日頃の備えについて啓発する取り組みで、昨年は99回行い、5863人が参加した。市は「講座の要請があれば原則応じる」としている。
一方、各区の危機管理担当による地域性を考慮した講座も、学校区避難所運営会議や老人会、企業を対象に実施。多摩区危機管理担当は「すぐに成果が出るものではないが、地道に啓発の場を設けていく」と話す。
さらに「阪神・淡路大震災では、発生後1時間以内に当日犠牲者の8割が集中したというNHKの調査データもある。建物や家具の倒壊による窒息死の割合が高いという実態に対し、リスク意識は低い」と指摘。「家具の固定など身近な屋内対策にも力を入れるべき」と警笛を鳴らす。
市が18歳以上を対象に行う「かわさき市民アンケート」の昨年度結果によると、大規模災害の備えとして家庭内の取り組みは、停電(64・2%)や飲料水(43・2%)に対し、家具の適切な配置や転倒防止対策が34・9%とやや低めだ。
市は今年度中、防災を特集した広報紙の全戸配布を計画中。事業周知に注力していく。
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