不登校の子どもたちの支援や「居場所づくり」に30年以上携わるNPO法人フリースペースたまりば理事長の西野博之さんが4月初旬に共著を出版した。西野さんは「安心できる居場所があれば、子どもたちは自発的に歩き出していく」と力説する。
今回出版した本のタイトルは「居場所とスクールソーシャルワーク」。日本で最初にスクールソーシャルワークの活動を始めた山下英三郎さんとの共著で、2人の対談をまとめたもの。
西野さんは何らかの理由で学校に行きづらくなった子どもたちのための「居場所づくり」に31年前から取り組んできた。当時は不登校の子どもたちに対し、「一日も早く学校に戻すべき」という意見が大半だったことに対し違和感を抱いていた西野さん。「今はその風潮は変わりつつあるが、不登校対策が全国的に取り組まれている今日でもその数が減らないのは対策が子どもたちのニーズに合っていないからでは」と指摘する。
86年から不登校児童、生徒や高校中退した若者の居場所づくりにかかわりはじめた西野さんは91年に高津区諏訪に「フリースペースたまりば」を開設。2003年からは下作延の「川崎市夢パーク」でプレーパークとフリースペースを運営する。1日40人前後の子どもたちが集うフリースペースでは、子どもとスタッフが一緒に昼食を作り、食べることを大切にしている。西野さんは本の中で「毎日お昼ご飯を一緒に食べているだけで子どもたちは元気になる」と語り、「大人たちの一方的な支援」でなく、子どもが自由な発想で遊び、ゆったりと休息できる「居場所」があれば、「子どもたちは自発的に歩き出していく」と力説する。
神奈川県内では現在、公立中学校でおよそ30人に1人が不登校になっている。学校に行きづらい、生きづらさを抱えた子どもたちに大人はどう関わっていくべきなのか。同著にはそのカギとなる“居場所づくり”のエッセンスが詰まっている。「私の経験が、不登校や貧困など子どもたちの支援に携わっている人々に少しでも参考になれば」と西野さんは話している。
西野さん著書読者3人に
記事で紹介した西野博之さんの共著「居場所とスクールソーシャルワーク」を読者3人にプレゼント。応募はハガキに〒住所、氏名、年齢、本紙の感想を明記し、〒211─0042中原区下新城3の14の7タウンニュース「西野さん本プレゼント」係へ。5月31日締切。当選の発表は発送を以て。個人情報は発送のみに使用します。
同書は税別1600円。書店やネット書店「アマゾン」で販売中。問合せはNPO法人フリースペースたまりば【電話】044・833・7562へ。
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