スペインで先月開催された「世界マスターズ陸上競技選手権大会」で久末在住の中村宏二さん(76)が初優勝した。「年々体力の衰えには逆らえないが、2年後にカナダで行われるマスターズ世界大会の2連覇を目指したい」と決意を語った。
世界各国の選手が各年代ごとに分かれて競う同大会。中村さんは、75歳から79歳が対象の三段跳びM75クラスに出場。8m97の記録を出し、競技生活35年で初の世界大会優勝を手にした。
平常心が奏功
「リラックスして臨む」。その言葉通り、大舞台を目の前に表情が硬くなるライバルたちを横目に終始穏やかだった。「世界大会の醍醐味は町の観光」と言い、練習の合間を縫ってスペインの町を楽しんだ。本番は「自分のジャンプをするだけ」と言い聞かせ、ホップ・ステップとリズムを刻みながら大ジャンプ。「9m跳びたかった」と悔しがりながらも、シーズン自己ベストを記録し堂々の勝利を掴んだ。
スランプ陥り原点に
平常心で戦った反面、世界一までの道のりは険しかったという。今シーズンは原因不明のスランプに陥り、自己ベストを大きく下回る記録を連発。7月に行われた関東マスターズ陸上では準優勝したが、不安を抱えたまま世界大会1カ月前に。「このままでは世界で通用しない。陸上を始めた頃に戻ろう」と考え、ステップの刻み方など基礎から徹底的に見直した。フォームを修正したことで体が軽くなり楽に跳べるようになった。
今後はM75クラスの日本記録10・05mの更新を目指す。「家族や同僚たちの支えがあっての陸上生活。命ある限り自分の限界に挑戦したいね」と前を向いた。
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