川崎市は11月12日、2050年の二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを目指す脱炭素戦略「かわさきカーボンゼロチャレンジ2050」を策定した。市民にも身近に感じてもらおうと、区内の溝口周辺をモデル地区に選定。市民に環境に配慮した生活への行動変化を促す。
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この戦略では、政令指定都市の中で排出量が最多の現状を打破し、深刻化する気候変動に対応するため、304の事業者や団体の賛同のもと、取り組みを加速させる。18年に改定した「川崎市地球温暖化対策推進基本計画」で掲げるCO2排出量80%削減より、さらに高い目標。中間目標として、30年の排出量の目標値を今より350万トン少ない1850万トンに設定した。
市だけでなく市民や事業者と連携し、環境に配慮した選択を促すことで実現を目指す。太陽光やバイオマス発電などの再生可能エネルギー(再エネ)の推進や、市役所や区役所など主要公共施設の再エネ100%、CO2を吸収、削減技術の拡大などを掲げる。
街全体で集中的に取り組む「脱炭素モデル地区」には、賛同事業者が多い溝口周辺が選定された。「脱炭素アクションみぞのくち」として、市民と事業者、行政が一体となり環境に配慮した生活の実践に取り組む。
「皆で取り組む契機に」活動認知に課題も
マルイファミリー溝口は再エネ100%、さらにノクティプラザ全体での達成も目指す。また、エネオスは市内3カ所目となる水素ステーションを新設。市民はシェアサイクルやマイボトルの利用など、身近な行動の変化で脱炭素を促進する。
高津区は環境に配慮した取り組み「エコシティたかつ」を進めるほか、川崎市地球温暖化防止活動推進センターを拠点に普及活動を行うなど、脱炭素社会を実現するための土壌があることからモデル地区に選ばれた。同センターの竹井斎センター長は「普段の行動が脱炭素につながる行動ということもある。再確認して継続し、皆で取り組むきっかけとなれば」と期待を込める。
取り組みはすでに開始しているが、事業者の活動が市民に認知されにくいという課題もあり、市は周知を強化したい考え。市環境局地球環境推進室は「地球温暖化対策といっても、何をすればいいかわからないという声をよく聞く。しかし、身近にできることもあるので、生活の一部として取り組んでもらいたい」と呼びかける。
戦略ではそのほか、市民一人ひとりができることとして、再エネ電気への切り替えや節水節電など9項目を紹介。脱炭素推進企業の市内外の取り組みに対する評価制度も新たに導入する。
福田紀彦市長は「30年前、ごみの非常事態を乗り越えた川崎市なので今回も達成できるはず。必ず実現させる」と話している。
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