神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
中原区版 公開:2011年9月30日 エリアトップへ

「治療薬の多くは保険適用外」

公開:2011年9月30日

  • LINE
  • hatena

 「妊娠イコール出産ではない」-。ある女性の切実な訴えだ。不育症を抱える女性たちは宿った命との別れの辛さを幾度と無く経験してきた。だが決して稀なケースではない。厚生労働省の調べで不育症は、妊娠した女性の約16人に1人という高い割合であることがわかった。ごく身近な問題なのだ。

 今では不育症研究が進み、適切な治療をすれば80%以上の確率で出産できるという。しかし、女性たちを取り巻く環境は決して恵まれたものではない。特に費用面については厳しい現実に直面する。検査だけで1回数万円、治療に必要な薬も保険適用外なものが多く出産までに180万円も費用がかかる場合がある。お金の問題で出産を諦める人も多いという。不妊症と違い助成制度を設けている自治体は全国でもごく僅か。現状を探った。

 不育症に取り組む自治体の対応は様々だ。川崎市ではまだ助成制度実施の予定は無い。しかし、不妊症と合わせ不育症の相談室を設置するなど、周知に向けての取り組みは始まっている。市では不育症の助成についても「今後の検討課題として捉えている」と話す。

 一方で全国に先駆け、不育症の治療に助成制度を設けた市がある。岡山県真庭市。この市はある女性の切実な訴えが市を動かした。

 真庭市に住む女性(45)は子どもが欲しいと長年願い40歳にして初めて妊娠した。しかし、数ヵ月後に死産。その後も死産を繰り返し、検査の結果不育症ということがわかった。年齢的な問題もあり、医師から勧められたのは妊娠前からの治療。女性は「子どもが産めるなら」と治療を始めたが、すぐに費用の問題に直面した。治療に使われる薬は保険適用外のものが多く、交通費などと合わせると月8万円以上の費用が女性とその家族に重くのしかかった。そして4ヵ月目で治療を断念した。「本当に辛く苦しい決断だった」。

 女性は市役所を訪れ、今までの流産体験や精神的・経済的負担の大きさなどを話し、助成制度を訴えた。その切実な思いに心を打たれた市の職員たちは独自に不育症を勉強し調査。その結果、市内で何人もこの病気に苦しんでいる女性がいるという実態を確認した。その殆どは、高額な治療費に悩まされていたという。市は、助成に対する検討会を開き議論を重ねた結果、平成22年度から全国に先駆け上限30万円の助成が実現した。対象条件があるものの今までにこの制度を2人が利用したという。

 助成のきっかけを作った女性にはまだ子どもは生まれていない。しかし「自分のことのようにうれしい。未来に繋げることができたと思う」と話す。

 次回は市民団体「不育症そだってねっと」の活動について紹介する。
 

中原区版のローカルニュース最新6

平和の絵を描こう

ゆめパでキッズゲルニカ 参加者募集

平和の絵を描こう

4月27日

若者文化推進など追加

ふるさと納税の活用事業 川崎市

若者文化推進など追加

4月26日

市制100周年で1万発

第83回多摩川花火大会

市制100周年で1万発

4月26日

工場夜景とフラに200人

工場夜景とフラに200人

クルーズ船利用「観光資源に」

4月26日

工作通し、英語を学ぼう

工作通し、英語を学ぼう

4月28、30日にイベント

4月26日

多摩川に「モトスマリモ」

国内2例目

多摩川に「モトスマリモ」

河原の石から数年で発生

4月26日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 4月26日0:00更新

  • 4月19日0:00更新

  • 4月12日0:00更新

中原区版のあっとほーむデスク一覧へ

コラム一覧へ

中原区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月27日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook