被災地支援活動の経験中原区に活かす 中原消防署 上田正憲
福島支援全国消防派遣隊の一員として5月29日から6月11日まで、東京電力福島第1原発事故で被害を受けた福島県双葉郡の消防活動の支援を行った消防司令補、上田正憲さんに現地の状況を聞いた。
上田さんは小学2年生まで宮城県仙台市で過ごしたため震災への思いも強く、中原署では、階級や経歴年数、出身地「東北への思いを」踏まえ上田さんを今回の派遣に推薦したという。
―被災地はどんな状況でしたか。
「活動したエリアは立入り制限区域になっており、人が全く住んでいない場所でした。海岸の近くは、震災時の津波の被害を受けたままの状態になっていて、時が止まっているように感じました。夜になると街中の光もない為、真っ暗で信号の点灯だけが目立ちました。元々住んでいた方は隣県や他の市などに避難し、現地で活動する消防署員の中にも家族がバラバラになって生活しているという方もいました」
―現地の主な活動は。
「双葉郡にある富岡消防署楢葉分署に勤務し、制限区域で放射線量の測定を行いながら火災の警戒パトロールを実施しました。放射線量の高いホットスポットのような場所も有り改めて被害の大きさを感じました」
―活動を通じて感じたことは。
「家族の存在や帰る家があるありがたみを感じました。また震災は身近で起こる可能性もあります。家族の命を守るためにも食料品や水などを備えて、自助の考えを強く持ってほしい。そして3・11のことを絶対に風化させないでほしい。これは現地の救助隊長にも強く言われたことです。私は中原署で唯一現地に行って現場の人たちと触れることができました。この経験を伝えられるのは私だけなので、しっかり伝えていきたいと思っております」
小林英木署長は「貴重な経験をしてきた。被災地の様子はもちろん現場の苦労など後輩らに語りつぎ、関東で震災が起きた場合などは今回の経験を役に立たせたい」と話した。
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4月26日
4月19日