中原区内では、今年に入り、オレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺被害が多発している。５月７日時点で24件（昨年同時期15件）の被害が発生している。本紙では中原警察署の田中武志署長、中原防犯協会の田中明会長、中原区役所の向坂光浩区長に集まってもらい、特殊詐欺被害防止への取組みなどについて聞いた。（進行／本紙・佐々木貴広）
――全国的に振り込め詐欺などの被害が多発しており、手口も多様化しております。区内でも昨年末から急増していますが中原警察署と中原区役所、中原防犯協会では、それぞれどのような取り組みを行っていますか？
田中武志…昨年は詐欺被害が非常に多く発生しました。私たちは連携して対策を取ってきておりますが、先月の詐欺撲滅強化月間を皮切りに、より連携を強めています。警察としては発生させない、発生すれば検挙するという２本立ての構えをしており様々な取組みを行っています。特殊詐欺撲滅の専従班を作り体制を確立させています。さらに、前兆電話があった場合の警戒強化、だまされたふり作戦の協力などを呼びかけ、県警本部とも連携し犯行の抑止、犯人の検挙につなげたい。
向坂…区役所では詐欺の啓発広報に力を入れております。訪れた区民の皆様に聞いていただく庁内放送や待合場所にあるデジタルサイネージに映像を流し啓発をしております。市政だよりにおいては「『お金』『ＡＴＭ』『キャッシュカード』『暗証番号』と言われたら詐欺です！」という情報を盛り込みました。また、区役所職員などを語る還付金詐欺に備え、保険年金課、高齢障害課の窓口では広報物を配布し注意を促しています。
田中明…防犯協会では、お金やキャッシュカードを自宅に受け取りに来る「受け子」を撃退するためのシールを３千枚制作し、老人クラブの方に約１８００枚配布しました。さらに地域を警察の方が巡回する中で配布してもらい、玄関にシールを貼って頂くことで犯行を思いとどまらせる効果を狙っています。そのほかにも協会としては駅頭でのチラシ配り、青色パトロールカーでの啓発を実施しております。
――中原区を良くしようと願う各団体、関係者の協力が必要ですね。
田中武志…ＡＴＭに誘導され操作する手口では銀行の職員やコンビニエンスストアの店員による声がけにより実際抑止した例もあります。高額金を下ろしに来たら全件通報していただいており、すぐに警察が駆けつけ、警戒巡回も行います。
向坂…市で推進しております地域包括ケアの枠組みの中で、誰もが意識し誰かに相談できる環境を整えています。最近では防犯アプリで、前兆電話が入ったエリアに、警戒を促すようになっております。
田中明…先月、武蔵新城駅前で詐欺防止キャンペーンを実施しました。駅前に人が溢れるくらい参加者に集まってもらい啓発を行いました。嬉しかったのは防犯指導員や地元商店街、町会、老人会、警察のＯＢの方々など大勢来ていただいたことです。以前には隣接する高津区の関係者とも合同で行ったこともあり、そのような連携もしながら、活動を継続していきたいと思います。
――犯人も手口を代えながら犯行に及んできます。一言お願いします。
田中武志…老後のため、家族のために貯めた大切なお金が盗まれるのは、金額以上に心の負担が大きい。警察としては絶対に犯人を許さない。区民の方には、被害に遭わないためにも留守番電話に設定するなどできるかぎりの対策をしてほしいと思います。
向坂…一人暮らしの方など情報が行き届かないところにいかに伝えるかが私たちの役目。犯人は常に新しい手口を考えてくるため、知らない方が多く、地域のつながりを通して、広く広報したいです。
田中明…若い青少年が犯罪に加担することをどうしても防ぎたい。中原区内の治安を守るため警察、区役所の方々と連携し協力させて頂きます。
――日々、前兆電話が入り、被害の発生も報告されています。1人ひとりの心がけが大切ですね。皆様、ありがとうございました。
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