「正直、はじめは大したことにはならないと思い込んでいた」。雨脚が強まるなか、午後5時頃から消防署に待機していた布施団長。街に水が溢れ出したのは「あっという間」で、夜が更けるにつれて救助要請は増加。切迫感が募ったという。浸水した地域から「避難したいけど外に出られない」との声がいくつも届き、救助用ボートが必要になるも当時、中原区が保有していたのは1艇のみ。麻生署から1艇を借りたが「とても間に合う要請数ではなかった」。先着順で対応せざるを得ず、強い焦燥感と罪悪感に苛まれた。深夜まで対応にあたり13日の明け方に帰路で、倒木や冠水など被害の状況を目の当たりにし「大変なことになったという実感が湧いた」という。
被災を受けて消防団は、救助用ボートの重要性を再認識。今年、新たに6艇のボートが区内に設置され、先月はボートの組み立て方法を学ぶ訓練などをして台風シーズンに備えたが、数にも性能にも課題が残る。特に、高所への避難が困難な車いす利用者を救助する場合、現在保有するボートでは安定性を欠き、要救助者にも団員にも危険が及ぶとして車いすに対応したボートの設置を求めている。また、水害を想定した訓練も現在は、知識をつけることに注力し、実技が足りないという。布施団長はプールなど水場での実践訓練が必要とし「周到に準備し、いざというときに備えたい」と話す。
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