川崎信用金庫新城支店の社員、那須野凛さん(24)が振り込め詐欺の被害を未然に防いだとして3月7日、中原警察署から感謝状が贈られた。入社2年目の那須野さんの「お手柄」の背景には被害を防ぐための日々の積み重ねがあった。
「急いで預金をおろしたい。すぐ家に来て」
今年の2月初め、那須野さんが担当する顧客から慌てた声で電話がかかってきた。「何かありましたか」と尋ねると、女性は「理由は言えないが、すぐ200万円が必要」の一点張り。同店では即日に現金を届ける場合、午前中に手続きを終える必要があるが、正午を過ぎていた。不自然さを感じ、那須野さんは「理由を教えてほしい」と繰り返したが、答えは同じだった。
電話の内容を上司に相談し、同行してもらって女性宅に急いだ。事情を尋ねると「息子から電話があった。会社の通帳とかを無くしてしまい、補償のために200万円が必要だと言われた」と言う。息子を名乗る男は「声が変なのは事故にあったから。携帯電話も無くした」と語ったこともわかった。
担当として信頼関係を築いていた那須野さんは、女性が息子と同居していることを知っていた。「息子さんの携帯に電話を」と依頼したが、女性は「あれは息子だった」と言い張る。「かけて」「かけない」と何度か繰り返し、やっと女性が電話をかけると息子が電話に出た。女性は驚きつつ、事情を伝えると、息子は「それは自分じゃない」。詐欺の電話と分かり、那須野さんが中原警察署に連絡した。
女性は「自分がだまされるとは思わなかった」と話したが、那須野さんは「とても優しい人なので、息子さんが困っていると聞き動揺したのだと思う」と冷静だ。同店では、預金係などの窓口対応でも高額出金の場合は中原警察署に連絡し、署員が用途などを確認したうえで手続きを進める。「自分の預金なのに」と怒って帰る客もいるが、副支店長の吉越大剛(ひろたか)さんは「詐欺を防ぐうえで大切な手順。ご理解頂くよう努めている」という。吉越さんも今回の那須野さんの対応を、「お客様と連絡を密にしていたことで異変に気付けてよかった」と喜んでいた。
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