気付いたら誰でも相談
市内の中学1年生が殺害された事件を受け、川崎市教育委員会は9日、市内の小中高生に関するトラブルを電話で通報、相談できる「ダイヤルSOS」を開設した。今回の事件では、子どもを取り巻く異変やそのサインに周囲の大人が適切に対応できなかったことが課題の一つとされている。事件の教訓はどう生かされるのか――。
市教委はこれまでも「教育相談室」や「電話相談ホットライン」などの複数の電話相談窓口を開設していた。それでも今回の事件は防げなかった。
今回開設した「ダイヤルSOS」は既存の相談窓口の名称を改め、小中学生本人や保護者だけに限らず、いじめや暴力行為、人間関係の異変に気付いた人なら誰でも電話できるように間口を広げた。「近所で暴行を受けた子どもを見かけた」「友達がいじめられている」といった緊急性の高い内容を迅速に把握することが目的という。
市教委の担当者は「警察や消防に相談するレベルではないけれど、誰かに伝えたほうがよさそうと子どもが感じているケースがある。そういった声を届けてほしい」と話す。
相談者が安心して相談できるよう匿名性にも配慮し、内容によっては学校や警察、児童相談所などと連携して対応するとしている。
ただ、開設されるのは、平日の午前9時30分から午後5時まで。暴行の通報があってもすぐに警察に通報することはないという。緊急性が高いと判断する基準や具体的な連携体制は今後検討するとしており、運用上の課題が残る。具体的な情報管理についても今後、検証委員会で議論して検討していくという。
市立中学校のある女性教諭は「(これまでの)電話相談の番号を知っている生徒は少ない」と実情を指摘する。「相談窓口は必要だが、普段からの生徒との信頼関係づくりが大切。悩みや気になることを打ち明けられる大人が近くにいられるような環境づくりに取り組めれば」と話していた。
市教委は「外部機関と連携するかはケースバイケース。緊急性の高い情報をいち早くキャッチし、各機関との連携を深めていく」としている。今後、全市立学校に「ダイヤルSOS」の案内チラシを配布し周知を図るという。
「ダイヤルSOS」の受付時間は平日午前9時30分から午後5時まで。電話番号は044・200・3288。このほか、24時間電話相談(いじめ相談ダイヤル/【電話】044・522・3293)もある。
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