市政報告 資源物等の持ち去りに条例改正で罰則科す 川崎市議会議員 松原しげふみ
「川崎市では平成10年頃から市北部に於いて、当時使われていた空き缶容器からアルミ缶を無断で回収する業者と思われる車輌が見受けられていることから警察機関と協議の上、空き缶容器に警告ポスターを貼り、町内会等に協力要請するなど防止策を講じてきました。しかし平成13年頃からは個人による持ち出しが見受けられるようになりました。〜(略)〜本来ならば歳入となるべき年間約2500万円のアルミ缶の持ち出しを防止する為の措置はないのでしょうか―。」
この一文は今から14年前の平成19年6月1日号のタウンニュース紙に私が寄稿した文章の一部の抜粋で、資源物の持ち去りについての対策を問題提起したものです。その後も数回にわたりタウンニュース紙上に行政の取り組み状況や方向性についての考え方を報告させていただくとともに、市議会決算審査特別委員会に於いて改善策について質疑を続けさせていただいておりました。行政としてもこの問題に関して手をこまねいていた訳でなく、生活環境事業所によるパトロールを実施したり、集積所へのポスター等の掲示、市民からの連絡や問い合わせに応じて現場確認を行う等の対応は行っていましたが、持ち去り行為を禁止するような命令及び指導ができない状況が続いておりました。特に市民からは持ち去り現場での騒音や集積所の散乱、粗大ごみ処理券を購入し集積所に出した物品を持ち去られる事への苦情が発生していました。持ち去りの最近5年間の状況はアルミ缶の持ち去りは年平均約280トンで金額では約2000万円、粗大ごみは年平均4600点との推計が示されています。
時局を鑑み、市では今後の社会的な情勢により資源物の市況が高騰した折には今以上の悪質な持ち去りが横行する恐れがあり自治体としての処理責任が果たせなくなる上、市民の分別意識に影響を及ぼすことが懸念され地域の安全・安心を脅かすことにもつながると課題の整理が行われました。その結果、持ち去りを防止し不適切な処理を抑止することにより自治体としての廃棄物処理の責任を果たし、市民の安心安全なごみ出し環境の確保と遺失利益を保持するため、持ち去り禁止対象を下表の品目といたしました。
因りて「廃棄物の処理及び再生利用等に関する条例」を改正し、罰則及び両罰規定を設けることで抑止効果や実効性のある条例とします。具体的には条例の規定に違反し持ち去りを行った時には市はその者に対し持ち去りを行わないよう命じる事ができ、関係車輛等に立ち入り検査を行う事を可能とし、禁止命令に違反した者は罰則(罰金)を適用し、持ち去った当事者だけでなく行為を行うために雇用した法人等に対しても適用(両罰規定)されます。条例改正後の市としての基本的な対応策としては、持ち去りを確認した場合、市職員が指導を行い、継続的に実施した場合は禁止命令書を交付します。交付された者がさらに継続的に持ち去りを行った事が確認されると警察に告発が行われます。その後、検察へ送致、起訴、裁判所による略式命令で罰則(罰金)が確定となります。今後検察との協議に約3カ月かかる事が予想されるので条例改正に係わる手続きは本年9月以降となると考えられます。最後に、アルミ缶を集める事によって生活の糧としているホームレス等の方に対しては、人権擁護の観点を踏まえ、一人ひとりの状況に応じ福祉の援護による自立支援を行う等、関係局と連携した必要な取り組みが実施されます。
松原しげふみ事務所
中原区新城5-2-3
TEL:044-751-8855
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5月3日
4月26日