2011かながわ技能フェスティバルの「かわらぶき」部門で優勝した 山崎 一弘さん 深見在住 28歳
地に足つけて
○…神奈川県内で活躍する中堅技能者が、日頃鍛えた腕を競い合う技能競技大会の「かわらぶき」部門に出場。優勝を果たした。聞けば、平成19年に初出場した際も優勝。その時に刻んだ史上最年少優勝記録は、今でも破られていない。9月の台風の影響で仕事が重なり、大会に向けた練習はほとんど出来なかったというが、現場で磨かれた技術は嘘をつかなかったようだ。
○…「(有)山崎瓦店」の3代目社長。祖父と父の背中に憧れ、初めて屋根に上ったのは3歳の時。子どもながらに「跡を継ぐ」と名言していたそうだ。しかし、幼稚園でサッカーに出会うと、夢はサッカー選手に変わっていった。転機は高校3年。「愛知県にかわらぶきの専門学校があるけど行ってみるか」。進学する気配のない息子に、父親がかけた唯一の進言。当初は嫌々従ったものの、気付けば「かわらぶき」の難しさに魅了されていた。「今思えば、うまく誘導されたのかも知れないですね」と笑う。
○…学校卒業後、愛知県で働いていた時、実家から連絡があった。「お父さんの具合が悪い。帰ってきてほしい」。残りたい気持ちはあったものの、その年の3月に帰宅。父の体調が急変し、入院したのは翌月だった。もちろん仕事は残っている。「あとはお前に任せる」。病床の父に頼まれた。その時、わずか20歳。プレッシャーに押しつぶされながらも『父の名を汚したくない』、その一念でやりとげた。「その時の仕事の出来と達成感が、今の自分を支えています」。
○…高校時代のサッカー部仲間と、休日にボールを蹴るのが唯一の息抜き。その合間に、結婚を約束した彼女と式場めぐりをする。「身体が休まらなくて大変ですよ」と言いながらも充実した笑みを浮かべる。将来の夢は他界した父が果たせなかったかわらぶきの本場・近畿地方で腕を試すこと。「神奈川に山崎あり、と言われるようになって乗り込みたい」。照れながらも、力強い瞳で語った。
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