シリーズ 「44・99」 を考える【1】 IT企業の投票率アップ作戦
鎌倉にとって2013年は「選択の年」。4月に市議会議員選挙が行われ、10月には市長選も控える。しかし市議選の投票率は過去最低の44・99%を記録するなど、政治離れが進んでいる。投票率「44・99」をキーワードに、政治と市民との新しい関わりについて、シリーズで考える。今回は鎌倉を拠点に活動するIT企業による協同プロジェクト「カマコンバレー」が、市議選の際に行った「若者の投票率を上げる」取り組みを紹介する。
「比較サイト」を開設
鎌倉に多くのIT企業が進出していることから、アメリカのシリコンバレーにかけて呼ばれるようになった「カマコンバレー」。「それならば自ら名乗ってしまおう」と鎌倉を拠点に活動するIT企業など数社が、昨年からプロジェクトの準備を進めてきた。
得意とするITを活かしながら「新しい働き方の提案」や「異なる立場、価値観の人の共生」を柱に、鎌倉を良くするための施策の実現を目指している。
そんな彼らが最初のプロジェクトとして選んだのが、「市議選で若者の投票率を上げよう」だった。
メンバーの本多喜久雄さん((株)グローバルコーチング)は、「鎌倉で暮らし、まちへの感謝をかたちにしたかった」と理由を話す。
そこで候補予定者に7つの質問をぶつけたスマートフォン向け比較サイトを立ち上げたほか、「バーチャルだけでは弱い」と、3月30日には立候補予定者を招いた「公開ミーティング」を実施。所属企業の若手社員らが中心となって、朝の駅頭でミーティングを告知するチラシ配りも行った。
公開ミーティングには11人の候補予定者が参加、約100人の市民が集まり、後日ネットでも公開された。選挙当日には飲食店と提携し、投票に行ったことを証明すると割引が受けられる「選挙割」も実施した。
「聞く力」持つ人を
今、プロジェクトメンバーは過去最低の投票率をどう考えているのか。本多さんは「今回の活動を通じて、鎌倉を愛する人がこんなにも多くいると分かったことが大きな収穫」と話す。そして「今でも若者の投票率は上がったのではないかと思っている」と笑う。
本多さん自身「4年前誰の名前を書いたかはっきり覚えていない」が、今回は多くの情報をもとに票を投じる候補者を決めた。重視したのが「コミュニケーションの力」。「意見の異なる人の話をしっかりと聞く力がない人では、市民を代表できない。AかBではなく、対話を通じてCもDもと選択肢を提示できる力が必要」と話していた。
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