半世紀前の書を発見・修復 長谷公会堂に展示中
甘縄神明神社敷地内にあり、地元住民の集会などに利用されている「長谷公会堂」。56年前に同公会堂が建設された際、当時の建長寺管長、菅原時保さん(1865〜1956)から寄贈された書がこのほど発見された。書は地元表具師の手で修復され、3月末から同公会堂で展示されている。関係者は「公会堂の歴史とも言えるものなので、長く受け継いでいって欲しい」と話す。
長谷公会堂は、老朽化による耐震強度不足から2011年に改修工事が行われた。その際、2階のほとんどが撤去され、大広間に飾られていた額などは倉庫にしまわれたまま2年以上が経過していたという。
今年2月、長谷自治会の石渡雅彦会長が倉庫を整理したところ「福在和合」と書かれた書を発見。裏側に「祝長谷公会堂新築・寄贈石渡幸太郎」と父親の名前が書かれていることに気がついたという。確認すると、書家としても有名だった当時の建長寺派管長・菅原時保さんの号「曇華軒」とあった。
石渡会長の生家は「萬屋本店」という酒屋。托鉢の僧侶に店先を休憩場所として提供していたことから、父と菅原管長の間には親交があったという。「長谷公会堂の建設が決まり、父が菅原管長に書を依頼していたのでは」と石渡会長。日焼けや劣化が見られたため、地元の表具師・中島照美さんに修復を依頼した。
絹に書かれた書の裏に新しい和紙を貼り、余白には酒屋にちなんで杉丸の模様を配するなど修復には1カ月以上を要した。
作業を通じて思いがけない事実も判明した。「手に取った瞬間に父(2010年に亡くなった敬蔵さん)の仕事だとすぐわかった」と中島さん。修復を終えた額は3月31日に公会堂に搬入され、2階に飾られている。中島さんは「50年は持つように修復した。記念となる書なので後世まで受け継いでほしい」と話した。
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