5年後に迫った東京五輪。都心からのアクセスが良好で、セーリング競技の会場が江の島に決まったことなどから、これまで以上に観光客が鎌倉を訪れることが予想される。このままで対応できるのか、今からできる対策はないか、シリーズで追う。第一弾は「ムスリム観光客へのおもてなし」。
日本政府観光局が9月16日に発表した訪日外客数8月の推計値は、前年同月比63・8%増の181万7千人で過去最多となった。そのなかでも、東南アジア各国の増加が目立ち、タイやシンガポール、マレーシアなどは同月の過去最高を記録。経済成長に伴い中間層が増加し、ビザの緩和やLCC(格安航空会社)が相次いで就航していることがその要因だ。
東南アジアからの訪日客増加に伴い、課題となるのがムスリム(イスラーム教徒)への対応。16〜18億人の信者を有し、世界の4人に1人が信者とされるイスラム教はエリア別でアジア・太平洋地域の人口が全体の約60%を占め、その割合は今後も増え続けるとされている。
インドネシアは人口の88%にあたる2億人以上がムスリムで、世界で最も多い。聖地メッカのあるサウジアラビアの約2937万人と比べると約7倍だ。そのインドネシアからの訪日外客数は前年8月に比べて15・9%増だった。
観光庁がガイド本
観光庁は8月26日、基礎知識や問い合わせ対応などの文例集を収録した「ムスリムおもてなしガイドブック」を発表した。
内容は礼拝のほか、食事に関して豚肉を口にせずアルコールも避けるべきといった「ハラール(=「神に許された」という意味)」などを解説、対応策を紹介したもの。イスラム文化に対する理解が進んでいない現状への危機感の現れとも言える。
対応手つかず
昨年約2200万人が訪れた鎌倉市。しかし、ムスリム対応に関して手つかずなのが現状だ。市観光商工課はムスリム観光客数は把握していないとし、「ハラール対応レストランのリスト化や、礼拝できる場所の整備などは今後の検討課題」と話す。JR鎌倉駅東口にある観光案内所は、ハラール対応のレストランを聞かれた場合「精進料理のお店を伝えるしかない」という。
今後も予想されるムスリム観光客の増加にどう対応するのか。次回は県が始めた取り組みや市内飲食店の事例から考える。
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