1954年、平和を願い世界中から集めたコインで鋳造した鐘が、国連本部に贈られた―。鐘の贈り主で、愛媛県出身の中川千代治(1905-72)の生涯を描いた絵本『コインでつなぐ平和の鐘』がこのほど、鎌倉市に寄贈された。
日中戦争や太平洋戦争に出征し、その悲惨さを体験した中川は戦後、国連が設立されると、同本部に単身乗り込み「人々の汗が染み込んだコインで鐘を作り、平和を呼びかけたい」と訴えて認められた。
その後、中川が世界中から集めたコインで作った「平和の鐘」は、現在も国連本部の庭園に設置されている。今年6月、中川の娘、高瀬聖子さん(68)が「父が平和にかけた情熱を多くの人に知ってほしい」と絵本を出版。69年に中川が「平和の鐘」のレプリカを作成し、140カ国以上の元首に贈った際、その入魂式を行ったのが市内二階堂の鎌倉宮だった縁などもあり、高瀬さんが8月9日、市役所を訪れ、松尾崇市長に絵本を手渡した。
高瀬さんは「戦争は決して遠い出来事ではなく、現在につながっている。平和の意味を考えるきっかけになれば」と話していた。
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