街角から姿を消しつつある銭湯。鎌倉市内でも、現在は5軒が営業するのみだ。しかし最近では若者や外国人が訪れるようになるなど、かすかな光明も見えている。鎌倉市公衆浴場業生活衛生同業組合の小野田将夫組合長(69)は「銭湯が本来持つ魅力は決して失われていない」と話す。
現在の銭湯に近い風呂が登場したのは江戸時代。戦後すぐは、米などとともに物価統制令の対象となって国が入湯料の高騰を抑え市民が利用しやすくするなど、地域における公衆衛生の要の役割を果たしてきた。
「体を清潔にすることは健康の基本。大げさかもしれませんが、現在にまで続く清潔性や勤勉性といった日本人の精神のベースとなる部分に銭湯が大きくかかわっているのではないか」と小野田さんは話す。
同組合は1959(昭和34)年2月に発足した。当時は20軒が加盟しており「各地域に1軒は銭湯があった」という。しかし自家風呂の普及により徐々に利用者は減少。現在は5軒にまで減っている。
もっと銭湯に親しんでもらおうと、関係者も様々な手を打ってきた。その一つが「鎌倉銭湯寄席」。みらいふる鎌倉(鎌倉市老人クラブ連合会)の協力も得て毎年秋に鎌倉芸術館で開催しており、今年も10月9日(火)午後1時から予定されているもので、15回の節目を迎える。「落語にはお風呂をテーマにした演題も多いし、何よりお客さんが喜んでくれるから」と小野田さん。
また利用者に好評なのが、鎌倉市と協働で実施している「デイ銭湯」だ。65歳以上の市民を対象に、体操などのレクリエーションと健康チェック、入浴を銭湯で実施するもの。1回300円で体力づくりや生きがいにもつながるとあって、年間600人以上が参加している(第2期は9〜11月、第3期は1〜3月)。
そうしたなか、わずかながら追い風も吹く。レトロな魅力にひかれて若者の姿が増えているほか、日本ならではの文化を体験しようと、多くの外国人観光客が足を運ぶ。週末になるとハイキングやトレイルランを楽しんだ後に汗を流す人もいるなど、これまで銭湯と縁がなかった人たちが訪れるようになっている。小野田さんは「裸の付き合いに代表される人とのつながりなど、銭湯の魅力をこれからも発信していきたい」と話している。
銭湯寄席やデイ銭湯の詳細は、ひばり湯【電話】︎0467・46・5324へ。
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