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鎌倉の海藻でブランド豚育成目指す 料理研究家が畜産業者・福祉作業所と連携

経済

掲載号:2018年12月14日号

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飼料用に加工した海藻を手にする臼井さん(左)と矢野さん
飼料用に加工した海藻を手にする臼井さん(左)と矢野さん

 鎌倉の海岸に流れ着く海藻を利用して、新たなブランド豚を育成しよう―。市内在住の料理研究家がこんな取り組みを始めている。これまで価値のなかった水産資源の有効活用につながるほか、回収や加工を福祉作業所に依頼することで、障害者の収入増にもつなげたい考えだ。

 活動の中心となっているのは、市内岡本で料理教室「鎌倉ダイニング」を主宰する矢野ふき子さん。矢野さんはこれまで、鎌倉漁業協同組合と連携して、カタクチイワシを加工した「鎌倉アンチョビ」や「シラスの沖漬け」を開発してきた。

 「シラスの沖漬け」は県が女性起業家らが開発した商品を認定する「なでしこブランド」にも選ばれるなど、6次産業化(農林水産業者が資源の加工、販売まで行うこと)を推進してきた。

漂着した海藻活用

 そんな矢野さんが次に注目したのが、鎌倉の海岸に漂着する海藻だった。

 その多くはカジメやアラメといった海藻で、栄養価が高く食用にもなるが関東では食べる習慣がなく市場でもほとんど流通していない。そのため放置されたままになり、県と市が業者に委託して、海岸に埋めるなどして処理している。その量は年間で3000トン以上にのぼるという。

 「何か活用する方法はないか」と考えた矢野さんがたどり着いた答えが、飼料としての利用だった。県畜産試験場の紹介により、厚木市内で養豚業を営む臼井欽一さんに相談したところ快諾を得られ、今年秋から海藻を混ぜた飼料を与えた豚の育成が始まった。

障害者の収入増に

 また海藻の回収と洗浄、乾燥、粉砕、包装といった工程は、障害を持つ人が通う市内の3カ所の福祉作業所に依頼。加工が済んだ飼料用海藻を矢野さんが買い取って臼井さんに納品する仕組みで、事業が軌道に乗れば障害者の収入の増加につながる可能性もある。

 作業所の職員は「利用者には一つのことに集中することが得意な人が多く、適性が生かせる仕事だと思う」と話す。

試食会を開催

 11月13日には、海藻を食べさせた豚肉の初の試食会が開催され、畜産事業者や農林水産省の職員、メディア関係者など約30人が出席した。

 会場では豚肉を焼肉やしゃぶしゃぶとして提供。参加者には普通の豚肉と海藻を食べさせた豚肉をあえて明かさずに食べてもらい、「どちらが美味しいか」を判定した。

 結果にははっきりとした違いは出なかったものの、矢野さんは「今後は、どれぐらい海藻を飼料に混ぜれば食味に影響するのか等の研究を進めるとともに、海藻の回収や生産、販売の体制を確立させ、2〜3年後には市内で販売できるようにしたい。鎌倉ブランドの豚肉としてふるさと納税の返礼品や給食への提供、子どもの食育にも活用できたら」と話している。

作業所の利用者による海藻回収の様子
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