広島市出身。2009年から防犯・防災ボランティア「鎌倉ガーディアンズ」の代表を務め、東日本大震災や熊本地震の被災地支援、防犯パトロール、家具の転倒防止器具の普及活動に取り組んできた
新型コロナウイルスの感染拡大は、鎌倉の主要産業である観光を直撃している。「コロナ時代」の観光はどうあるべきか。三井住友銀行出身で昨年８月に鎌倉市観光協会の専務理事に転身した大津定博さん（57）に、今後の取り組みについて聞いた。
コロナ影響大きい
――鎌倉観光の現状を教えて下さい。
「協会が運営する観光案内所を６月に利用した方は、昨年同時期の10分の１以下でした。もちろんこの数字がそのまま来街者数を反映しているわけではありませんが、厳しい状況であることに変わりはありません」
――人出そのものはかなり戻ってきているように見えます。
「確かに来街者は増え、海にも人は来ています。ただ、今来ているのは旅行というより『お出かけ』と言える方です。近場での気分転換や散歩が目的ですので、お土産を買うなど観光消費への意欲が少ないと感じています」
――政府による「ＧｏＴｏトラベル」キャンペーンが始まりました。鎌倉の観光振興への期待は。
「泊まる場所が少ないと言われる鎌倉ですが、実はとても魅力的な施設がたくさんあり、この機会に少しでも鎌倉に泊まっていただいて、ゆったりとした鎌倉時間を過ごしてもらえたら、と思っていました。しかし感染者数が急増しているなかで、キャンペーンに関して賛否両論が出てきて本当に残念です」
応援団増やす
――「ウィズコロナ」とも呼ばれる今、観光協会として、鎌倉の観光振興にどのように取り組んでいますか。
「まず協会の財務基盤を強化するために経営改善に着手し、昨年度は前年比で営業収支の健全化を行いました。また他団体との連携も進めました。鎌倉ガイド協会が今年３月に協会内に事務所を移転したほか、続けて７月には障害者向けの旅行企画などを行ってきたＮＰＯ法人湘南バリアフリーツアーセンターも協会内に入居しました。同センターとは観光庁が進めるユニバーサルツーリズム（年齢や障害の有無、国籍を超えて観光を楽しめるようにすること）の実証事業に参加したことがきっかけでしたが、ユニバーサルツーリズムは今後の観光の柱になる可能性があると考えています。手始めに10月から電動車いすのレンタル事業を始める予定です。観光協会のパートナーが更に増え、観光のワンストップ体制を強化することが理想です。また、鎌倉の寺社様との結びつきを強めるため、鎌倉十三仏詣などのツアー実現に注力しました」
22年大河に期待
――長年の懸案だったフィルムコミッション事業もスタートしました。
「鎌倉にとっては重要な一歩になったと思います。当初は規模も小さく限定的ですが、まずはスタート台に立ち、果敢にチャレンジする姿勢に意義があったと思います」
――２０２２年にはＮＨＫの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が放送されます。「アフターコロナ」も見据えて、大きな期待が寄せられていますね。
「このタイミングでの大河は天の恵みというほかありません。この好機を活用してどのように鎌倉の観光業を立ち直らせるかを考えていきます」
――観光協会としてチャレンジしていることを教えて下さい。
「残念ながらイベントが軒並み中止になって経営も大打撃を受けていますが、その逆境で職員から新規事業案件などが出されるなど、新しい挑戦が始まっています。コロナの収束にはまだ時間がかかるでしょう。公益法人として会員様や観光客の皆さんにとって、新しい時代の役割が果たせる組織に変えていければと思います。大森会長を始め職員、理事が一丸となって頑張ります」
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