「毎朝通りがかる稲村ケ崎小学校の通学路で、複数の子どもたちがごみ拾いをしている。ぜひ取り上げてください」。ある日、編集室に届いたこんなメール。記者がさっそく取材に行くとある1人の児童が自主的に始めた活動が、学年を超えて広がっていることが分かった。
トングとごみ袋を持った児童が、道端に落ちたごみを拾っていく。同校の通学路でこうした光景が見られるようになったのは昨年秋頃のこと。
先陣をきって活動を始めたのが、6年生(当時)の尾辻渓さんだ。2学期に行われた授業でSDGs(持続可能な開発目標)について学んだ尾辻さんは「自分も何かできることをやってみよう」と考えたという。
そこで思いついたのが、通学中にごみを拾うこと。「前から気になっていたし、すぐにできると思った」
その姿を見た向原慶さんや中村穂尚さんら、クラスメイトも賛同し、それぞれごみを拾いながら通学するように。すると学年を超えて協力者が増え、今では十数人が通学路で清掃活動に取り組むようになったという。
「いつも通りの時間に家を出ると遅刻するので、ごみ拾いをする日は早めに出る」と尾辻さん。担任の土井史教諭は「私も当初は全く知らず、驚きました。ある日教室にタバコの匂いがしたので尋ねたところ、通学時に拾ったごみだと。頑張っていることを自慢するでもなく、黙々と取り組む姿に周りの子たちも心を動かされたようです」と話す。
取材日(3月23日)もごみを拾いながら登校したという3人。特に多いのがタバコの吸い殻で、飲みかけの缶コーヒーや酒のボトルが捨てられていることも珍しくないという。土井教諭は「大人が捨てるようなごみが多いですね。地域や保護者からも感心の声と同時に『私たち大人がしっかりしないと』という声もありました」と話す。
この春、尾辻さんは2人と別の中学校に進むが、「中学でも続けられるはず。活動を広げられたらいいね」と顔を見合わせた。
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