最盛期には500人以上いた鎌倉彫の職人は、年々減少し4分の1ほどに。世の中のデジタル化によって叫ばれるはんこレス。そして新型コロナが、観光や経済を直撃した。
そんな中、街の伝統産業である鎌倉彫と、日本文化のはんこ職人たちが手を携え、「鎌倉彫の御朱印」を誕生させた。6月21日には、伝統鎌倉彫事業協同組合の職人たちと、鎌倉はんこ(御成町)を営む印章職人の月野允裕さん(43)・千恵子さん(38)が鶴岡八幡宮を訪れ、特製御朱印を奉納し、祈祷を受けた。
同組合員によって持ち手などが鎌倉彫で装飾され、月野さんが印面に「鶴岡八幡宮」と刻んだ御朱印は、コロナ収束後に参拝者への押印に使用される。また、今後は鎌倉十三仏の寺院にも特製品を納め、御朱印巡りに活用してもらう。
プロジェクトは、コロナ前の2019年にスタート。月野さんが鎌倉彫職人と独自の商品づくりを模索する中で、御朱印のアイデアが生まれた。御朱印巡りが全国各地で広がる一方、簡易的なプラスチック製のゴム判が使われる場所もある。「格式のあるものを作りたかった。何十年、何百年と残るような」(月野さん)。職人たちは鶴岡八幡宮などにヒアリングを20回以上重ね、改良を繰り返して御朱印を完成させた。
同組合の三月一彦理事長(70)は、「新しい道が拓けたような気がする」と明るい表情を浮かべる。逆風の中で誕生した鎌倉彫の御朱印は、伝統産業の再興や日本文化の継承、新たな観光サービスとして街に追い風を吹かす。
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