ごみ行政市民の関心高めよう デスク・レポート
▼鎌倉市内には名越と今泉の2カ所にごみ焼却施設がある。今泉は、2015年度の停止が決まっており、現状の年間排出量約4万トンのままだと、市内での処理はパンクする。
▼松尾崇市長は、焼却ごみの課題について、解決策を昨年11月に示した。公約通り、市内山崎の生ごみ資源化施設計画をいったん白紙にし、今泉が停止する15年度までに、分別の徹底や堆肥などの資源化促進により1万1500トンの削減を達成するとしている。松尾市長は、年初の市広報誌に「『ごみの発生』そのものの抑制に努めることで、ごみ焼却量を安全かつ確実に削減させたい」と寄せている。施設建設のコストもかからず、クリーンな案だ。しかし、理想的なだけに課題も多い。
▼市長が掲げた削減量の1万1500トンの内、約7割を占めるのが企業や商店街からの事業系ごみ。この目標値については、焼却前の分別調査や資源化により、今年度170トン、来年度以降は毎年度約800〜900トンずつ削減する計画。しかし、分別の徹底や調査は、回収運搬などを行う委託業者の負担増となりかねず、計画通り進むか、今後の動向が注目される。
▼今年1月には、市議会の観光厚生常任委員会が、市長案の生ごみ処理機普及による家庭ごみの削減量(1800トン)について、その実現性を市民にアンケートした。1666件の回答の内、すでに処理機を使用している2割の市民においても、家庭からでる生ごみ全ての処理は難しいという結果が出た。同委員会では、1800トンの目標値を再度精査する必要性を指摘しており、実現性に疑問符が付いた。
▼市は先月、ごみ処理基本計画(中間見直し)を策定。今泉停止を4年後に控え、新たな技術や民間の活用などを挙げつつ「焼却施設の新たな整備が不可欠」と明記した。また、逗子市とのごみ処理広域化も引き続き協議する方針だ。
▼ごみ行政は、生活に密着した重要な課題。一昨年の市長選は、新人同士の一騎打ちで、生ごみ資源化施設建設が争点だったとは言えない。改めて、市民一人ひとりがごみ処理の問題に向き合う必要がある。そして民意を示すチャンス、市議会議員選挙が2年後に訪れる。
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