コロナ禍で大会やコンクールへの出場機会を失った中学生・高校生たちが、新たな目標に向かって動き出している。今回取り上げるのは、鎌倉女子大学中等部・高等部のマーチングバンド部。現在は9月末の県フェスティバルや、動画提出という形で開催される全国大会に向け、熱のこもった練習を続けている。
日本のマーチングバンドの草創期である1967年に創部し、全国大会で32回金賞に輝いた実績を持つ同部。「必ず全国大会へ、という思いで今年も日々の練習に励んできた」という。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、同校でも2月末に臨時休校の措置がとられることになった。
それでも部員たちは楽器や演技に使う道具などを持ち帰り、自宅での練習の準備を整えた。自粛期間中はそれぞれが基礎練習や体力づくりを続けたほか、時には最上級生が後輩に課題を出し、各自が撮影した動画をもとに指導したという。
全国大会は動画で
全国への第一歩となる県大会がコンテストではなく、審査や順位付けのない「フェスティバル」という形式で開催されると発表されたのは、6月下旬。感染症対策のため、一般客の観覧不可、団体同士で演奏演技を見ることもできないという異例の形式となった。
さらに関東大会は中止。全国大会は開催されるが、動画提出によるビデオ配信と講評のみで行われるため、「夢の舞台」であるさいたまスーパーアリーナに立つことは叶わなくなった。
これまでの実績から、全国大会へは推薦が受けられるとみられているが、部員は未だ複雑な心境という。「お客さんがいっぱいのアリーナで披露するつもりで練習してきたのに、それができない。大会があることは嬉しいけれど、寂しいような悔しいような気持ち」と話すのは、フラッグなどを使い、演技するカラーガード担当で、部長を務める廣田実咲さん(高等部3年)。
例年なら今頃は、月1回はステージに立ち、作品をブラッシュアップをしている時期だが、今年はまだ楽曲や振り付けなどが未完成のまま。まずは9月26日の県の企画に向けて、完成を目指す。
今年のテーマは「つなぐ」。「人と距離をとらなければいけない今だからこそ、ショーで心の距離をつなぎたい」と顧問の大山明生教諭。廣田さんは「動画という形にはなるけれど、私たちのマーチングで、少しでも多くの人を元気づけられたら」とほほ笑む。
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