足柄上地域のろう者団体「足柄上郡ろうあ福祉協会」(矢野忠雄会長)が、1市5町の議会に手話言語法の制定を求める意見書の提出を求める陳情を提出し、5日に山北、6日に松田と中井で採択され意見書が議決された。
足柄上郡ろうあ福祉協会は、1962(昭和37)年に設立され、1市5町のろう者約30人で活動している。日頃は親睦交流や手話指導などに取り組んでいるが、全国組織の一般財団法人「全日本ろうあ連盟」(本部・東京都新宿区)の支援を受けて今回初めて陳情の提出活動に取り組んだ。
手話を言語として普及させる動きは、2013年に鳥取県が全国初の手話言語条例を制定したことで機運が高まった。
これまでに北海道石狩市や新得町、三重県松阪市が条例施行し、全国の1割にあたる179議会で国への意見書提出を求める陳情が採択されている。
県内では今年3月に寒川町と秦野市で同様の陳情が採択された。
相次ぎ採択
足柄上郡では同協会が山北町、南足柄市、開成町、中井町、松田町、大井町の各議会にそれぞれ陳情を提出。5日午前に開かれた山北町議会の本会議では、6人のろう者と支援する手話通訳ボランティア2人が固唾を呑みながら傍聴席から採決の行方を見守った。
議場に立つ手話通訳者の動きに何度も頷くなか、陳情が採択されると、大きく頷き手を取り合いながら喜びあう会員らの姿があった。
矢野忠雄会長(58)=南足柄市=は「議場に手話通訳が入り、陳情も採択して頂き感激した。曇り空が晴れていくよう」と述べ、目に涙を浮かべていた。
同協会が提出した陳情は5日の山北町議会で賛成多数、6日の松田町議会と中井町議会では全会一致で採択された。6月11日の大井町議会教育福祉常任委員会では陳情者が委員会審査に出席して説明や質疑に応じ、10人のろう者が審査を傍聴。採決(賛成全員)の様子を見守った。
大井町では12日、27日には南足柄市、開成町も月内には本会議を開き、付託審査の委員長報告を経て採決が行われる見通し。
■取材協力/神奈川県手話通訳者・香田悦子さん(南足柄市在住)
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