南足柄市が2015年度一般会計予算に計上した歳出の事業について、総額1億円規模の執行削減を検討していることが本紙の取材で分かった。市は予算の減額補正も視野に入れ、7月中旬までに見直し案をまとめ対応する方針。
同市の15年度一般会計当初予算は5年ぶりに140億円台を超える積極予算だった。財源の柱となる市税は対前年度比3・2%減の70億7700万円を見込んだ。今回の事業費削減は当初予算に計上していない「繰越金の上積み部分」で生じた約1億円の見込み違いが原因となった。
予算編成の時点では前年度の繰越金が確定しないため、繰越金を少なめに計上している。年度途中で明確になる実際の繰越金と当初予算との差額を補正予算の財源に充てている。最終的な繰越金を3億5千万円程度と見込み、当初予算では歳入に2億円を計上して収支の均衡を図ったが、実際には2億3千万円程度となることが判明したため補正財源が不足している。
そのため年度当初としては異例の歳出削減に取り組むことになった。市企画部では「14年度の市有地売却が予定通り進まず、財産収入が1億円ほど不足した。編成段階でこれを見落としていた」と、初歩的なミスだったことを明かした。
市企画部では「市民生活に影響が出ない事を念頭に置き、あらゆる方法での洗い出しを各課に投げかけている」としている。
公社の解散
市は2013年10月に市土地開発公社を解散した。約61億円の地方債を発行して金融機関に弁済し時価総額21億円の公社財産を代物弁済で取得した。
この年から償還(返済)が始まり、14年度からの9年間は元金と利子をあわせ年間約3億円が返済に充てられる。10年ごとに借り換えを行い30年で完済する計画で、清算に伴う負担の総額は70数億円となる見込みだ。
13年5月に市は「南足柄市土地開発公社解散プラン」を策定した。このなかで61億円の起債が与える財政への影響について「償還財源確保のための新たな取り組みがないままでは13年度から赤字が発生する」と自ら警鐘を鳴らした。
人件費削減など財政健全化に取り組むなか、償還開始から3年目の年度当初で深刻な財源不足を招く結果に、議会関係者からは「人件費削減などが進む一方で財政規律が緩んでいる」「今回の歳出削減は16年度の予算編成に影響する」など指摘の声が上がっている。
市有地売却
市は公社解散から2カ月後の13年12月に市有地3件の売却を開始。最低売却価格の合計は3457万円で14年1月にこの内1件を247万円で売却した。
14年5月には同年3月策定の「公有財産利活用方針に基づき」(管財契約課)4件、1億2217万円分の売却に着手。6月に1件2610万円を売却した。
今年4月には前年度まで未売却だった5件のうち4件を2割値引きし、計7件、1億2799万円分の売却を開始。5月に1件、2180万円を売却した。
7月8日現在、6件=表の販売を継続している。
歳入予算
市は14年度の歳入当初予算に市有地売却による1億3200万円の収入を計上し、4物件1億2217万円分の売却を進めたが、実際に売却したのは1件2610万円分で、歳入予算に見込み違いが生じている。
15年度も1億円の売却収入を計上しこれまでに1件、2180万円を売却したが今後も楽観視できない状況は続く見通しだ。
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