足柄版 掲載号:2018年6月16日号
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薫る野牧場島崎薫さん 山地酪農の夢かなう 「しあわせな牛」5頭と大野山でスタート

経済

地元の支援者が開いた開設式であいさつする中洞正さん(中央・島崎薫さん)
地元の支援者が開いた開設式であいさつする中洞正さん(中央・島崎薫さん)
 山北町皆瀬川の大野山で山地酪農の開業準備を進めてきた農業・島崎薫さん(29)の「薫る野牧場」が7日に開設され、地元支援者が開設式を開き関係者ら約80人が牧場の門出に立ち会った。

 相模原市出身の島崎さんは、東京農業大学在学中の2010年に、岩手県岩泉町で山地酪農を実践する中洞正さんの著書「黒い牛乳」を読み、11年冬にインターンとして中洞牧場を訪れた。

 食品会社への就職を目指していた島崎さんは山地酪農に共感し翌12年に中洞牧場へ就職した。「頑張り過ぎることもあるが、まじめで何でもきちんとやる」仕事ぶりが評価され、乳製品を加工する工場の責任者に抜擢された。

 一方、大野山の麓では、中洞さんを取り上げた書籍を読んだ共和地区の有志らが15年9月に、ルワンダでの酪農指導を終えて帰国した中洞さんを羽田空港で待ち受け、大野山での森林保全や再生、活用の取り組みを紹介した。共和地区の有志は60代から80代で、その後、中洞さんを山北に招くことに成功。中洞さんは2度目の訪問で神奈川県出身の島崎さんを伴った。

 県立相模原高校で陸上部に所属し、丹沢湖での高校駅伝にも出場した島崎さんは、大野山の山地酪農実践を決意。16年秋に共和地区に移住し開業への足場固めを始めた。

 共和地区では1968年から続く県営育成牧場の撤退を翌年春に控え、善後策の検討が始まっていた。そのため島崎さんを支援する流れが早々に広がっていった。

 山地酪農は1年を通して山に放牧した牛が下草をはみ自然交配、自然分娩して、子育てする「しあわせな牛」から乳を「頂く」自然農法。牛舎飼いで穀物を与え大量に搾乳する従来の酪農経営とは正反対の手法をとる。

 大野山での山地酪農は山の保全にも繋がり、放牧から加工までを手掛ける新規就農は県内初。そのため町や県も開設に向けて支援し、地元や中洞さんの後押しも受けて島崎さんの夢が実現した。

 開設式に出席した中洞さん(65)は「転ぶこともあるだろうが、転んだら起きろ。俺の背中を見ろ。徹底的にバックアップする」と激励。島崎さんは「山地酪農をここから広げたい。女の人にもできることを証明したい」と抱負を語った。

 薫る野牧場では、飲食販売の許可は得ていないため当面はソフトクリームの原料となる加工液を生産加工する。経営が軌道に乗れば牛乳や加工品も製造販売する。

 提携する山北駅近くの「さくらカフェ」で7月から関連メニューを提供するという。

大野山にやってきたジャージー牛 =薫る野牧場
大野山にやってきたジャージー牛 =薫る野牧場

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