松田町の酒蔵、中沢酒造株式会社(鍵和田茂社長)が10月1日、109年前に発見された清酒酵母を使用した「松みどり 純米吟醸 S ・tokyo(エス・トーキョー)」を発売した。東京五輪を控え、海外市場への初進出も視野に入れる。
新商品の開発は、1825年創業の中沢酒造の11代目で杜氏(とうじ)の鍵和田亮さん(32)が担当した。2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことや2020年に東京五輪を控えることから、「神奈川の地酒を国内外にアピールする最良の機会」と捉え、取り組んだ。
鍵和田さんが母校の東京農業大学の恩師、門倉利守・准教授に最初に相談したのが2年ほど前。同大の醸造微生物研究室と菌株保存室から提供された酵母は、農学博士の故・中沢亮治さんが1909年に酒母から分離した酵母「菌名:Saccharomyces tokyo NAKAZAWA」。清酒製造ではいままで使用前例がない酵母だったという。
商品化に向け試行錯誤を繰り返すなかで、通常の低温(10度)発酵に不向きということが解り、高温(14度)でゆっくりと発酵させた。その結果、アルコール度数が抑えめで糖化の促進で糖分が残り、通常より酸度が高い甘口の白ワインのような味わいの日本酒が出来た。
鍵和田さんは「中沢博士の名前との類似や保存されていた菌株番号が『0024』で弊社の電話番号と同じなど、単なる偶然ではなく大きなご縁を感じた」と話す。
和食にも洋食にも合うという新しい商品。同社では初の海外輸出を目指すためラベルも英語表記にした。販売本数2000本、720ml(税込・2020円)。
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