大井町の三嶋神社(加藤嘉孝宮司)で10月3日、修復作業が終了した稲荷社の本殿遷座祭並覆殿竣工祭が行われ、神社関係者は新しくなった稲荷社を祝った。
資料によると、三嶋神社は約800年前に源頼朝が平家打倒の兵を挙げ源氏を再興したことを祝し、静岡県三島市の開拓の神で知られる三嶋大社より分霊(本家の神様を別の場所で祀ること)を受け建てられた。源氏だけでなく足利氏や小田原北条氏など武門武将から「大願のかなうお社」として崇拝を受けてきたとされている。
地域のシンボル
稲荷社は、本殿の屋根や本殿を覆う覆殿が長年の風雨や鳥獣などによる被害で、劣化が進んでいた。修復計画が決まり、昨年11月に神社仏閣を手掛けた経験を持つ町外の業者に決定した。費用は、地域住民や企業からの寄付などで賄った。
新型コロナの影響もあり、覆殿の解体作業は当初計画から遅れ今年7月下旬から始まった。土台部分は、耐久性に優れる石の基礎の上に直接柱を載せる「石場建て」という伝統的な工法が使われている。本殿屋根の一部には薄く削った椹(さわら)の木を使用。金属製の釘では割れてしまうため、竹で作った釘を使っている。金槌も、そのためだけに作った。9月23日に御霊を三嶋神社本殿に遷座し、本殿の修理と清掃が行われ、10月3日に再び御霊を遷座し修復が完了した。
責任役員の米山玄斉大(としお)さんは「協力いただいた神社、地域住民、企業の方々に感謝申し上げます。今後は私の立場で責任を果たしていきたい」と話した。同神社禰宜の加藤恵子さんは「100年以上維持できるような作りをしていくのが使命。これまで技術や材料が手に入ったものが、今は厳しくなってきている。今回、様々な方の協力、ご縁で改修することができありがたいことです。伝統的な建物を大事にし、これからも伝えていけるようにしたい」と話した。
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