寄稿 新庁舎への強い思い 開成町長 府川裕一
昨年8月、開成町の最重要課題であった新庁舎建設が着工を迎えました。2020年春の業務開始を目指しています。
私が町長に就任したのは、東日本大震災が発生した翌月です。街を飲み込んでいく津波の凄まじい破壊力に言葉を失い、放射性物質の放出を伴った原子力発電所事故の様子に息を呑みました。すぐ頭に浮かんだのは、開成町の防災体制は大丈夫だろうか?ということでした。町長として、すぐに現地に赴きました。情報を正確に収集し、住民の安全と安心の拠点となるべき役場庁舎が使用できない状況は、想像以上に困難を極めていました。これからどのようにして住民の皆様の要望に応えていくのだろうか。この時、私は、復興に必要な防災拠点の重要性を改めて強く認識しました。
そして防災計画の見直しに取り組みました。その中で昭和45年に建設され老朽化が著しい現庁舎は、防災拠点としての機能が果たせるか不安が大きくなってきました。そこで町の最上位計画である総合計画や防災計画に庁舎整備の必要性を位置づけ、以降町民の皆さんと共に、庁舎整備基本構想と基本計画を作り上げ、一つひとつ手順を踏みながら新庁舎整備に向けて進めてきました。
ところが様々な課題が待ち受けていました。東日本大震災の復興や東京オリンピックの開催等による資材の高騰、人手不足等が課題となりました。町づくり町民集会でも建設時期や規模、財政的な不安等様々なご意見をいただきました。
そのたびに一つひとつ丁寧に疑問にお答えをしてきました。議会においても同様で、やむなく議案の取り下げをしたこともありました。本格的な整備の検討から着工まで7年かかりました。しかし、防災拠点としての重要性は熊本地震をはじめとして近年、日本全国で様々な災害が発生している状況もあり、多くの皆様からご理解をいただけるようになりました。
財政的不安については、役場庁舎として全国初のZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)庁舎の認定を受けるとともに、環境省の補助事業の採択を受けたことから、財政的負担を軽減することができました。
また、全国初ということで注目され、多数の事業者に入札に参加いただいたことで競争原理が十分に発揮され、工事費を低く抑えることもできました。新たに免震装置の不正問題が発覚し心配しましたが、納入前でしたので大事に至らず、結果的に第三者機関の厳しい検査に合格した製品を使用できることとなり、ほっとしています。
新庁舎は、防災の拠点であると同時に環境にやさしい開成町のシンボルとなるよう着実に進めていきます。
もちろん新庁舎での町民サービスも充実させ、人にやさしい開成町を創っていく覚悟です。
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