日本学生科学賞の神奈川県作品展で5年連続、教え子から入賞者を出している 小林 靖幸さん すすき野中学校在勤 55歳
「なぜ」を引き出す
○…中高生が物理や化学、生物などの研究成果を発表する日本学生科学賞の県作品展で昨年、すすき野中の教え子2人が特別賞を受賞。前年まで勤めた山内中の元教え子たちも同賞に輝いた。「山内中では、同僚だった若い青木先生が引き継いでくれていて。嬉しいね」と笑顔を見せる。毎年生徒たちに取り組んでもらい、ここ5年、連続して全国審査に生徒を送り出してきた。
○…25年前に勤めたすすき野中に昨年4月、舞い戻ってきた。作品展終了後も「すでに自分からテーマを持って相談に来る生徒もいる」と表情を緩める。授業は「なぜ」という言葉がキーワード。自ら説明するのは最後の10分ほどで、生徒自身が研究や発表に取り組むことを大切にする。「生徒たちは一つ達成感をつかむと、次の山を登り始める。すると周りの子も輝き出す。原石に気付くことが自分の責任」と、子どもたちを見守る目は温かい。
○…北海道出身。化学を専攻して研究に没頭していた大学4年、研究者の道に進むため、米国留学するか真剣に悩んだ。触媒の研究をしようとオハイオ大学の入学許可まで得ていたが、選んだのは教師の道だった。「研究の努力はできても、発想力といった自分の才能に限界を感じた。自分にできない分、未来に託し次の人を育てたい」。40歳ごろにはシンガポールにある日本人学校の教師も経験。研究職に付いた当時の教え子とは今も連絡を取っている。「当時の授業が面白かったと言ってもらえるとやっぱり嬉しい」
○…若いころケニアやヨルダンなど28カ国を旅した好奇心は今も健在。昨夏は家族でボルネオを旅行し、岩石や世界最大と言われる花、ラフレシアを見た。珍しいものを見つけると集めたくなり「自宅は収集した石だらけ」と笑う。「当たり前に見えることに疑問を持つことが大切。分かったときの感動の感覚を、子どもたちに伝えていければ」
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