コラム「学校と社会をつなぎ直す」【6】 教師との関係性があってこその学び 桐蔭学園理事長 溝上慎一
前回の連載では、力強い学校を目指して、校長・管理職が自律的に責任を持って判断するリーダーシップの必要性を説いた。今回は、教師が子どもたちと繋がることの重みを説きたい。
全国の学校の多くが機能停止した4月、文部科学省や県教育委員会等は子どもの学びを止めないための数多くのオンライン学習コンテンツをウェブサイトにアップした。このこと自体は素晴らしい公共的支援であると思われるが、子どもたちの学びはいったいどれほど促されたのだろうか。
塾や教育産業の魅力的な学習コンテンツも含めて、オンラインの学習コンテンツだけで学べるのは、自律的な学力の高い子どもだけである。学力の中下位層の子どもは、残念ながら魅力的な学習コンテンツを提供されるくらいでは学んだりはしない。言葉を選ばずに言えば、彼らは教師との関係性の下、嫌々ながらも仕方なく、しかし促されて学習する。たとえ授業が多少下手でも、関係性を持つ教師から声をかけられて励まされて、そしてようやく学ぶのである。教えるのがどんなに上手な教師のオンライン授業でも、知らない教師の授業では学力中下位層の子どもは学びに向かわないのである。
教育の専門家は4月の緊急事態宣言下において、子どもと繋がり続けよと発した。それはステイホームで孤独にならないようにというだけでなく、子どもとの関係性の中で学習を止めるなということでもあったのだ。
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