歴史探偵・高丸の「あお葉のこと葉」ファイル vol.7 「かがみっちょ」
草むらで子どもたちが駆け回って遊んでる。虫採りでもしているのかと思い「ここに大きなバッタがいるよ!」と声をかけたら、「バッタはいいです」と無視された。聞けば、探しているのは昆虫ではなくトカゲ。最近、小学生の間でトカゲの飼育が流行っているのだそうだ。
「昔は、トカゲのことをカガミッチョって呼んでたんだよ」と、無視されたリベンジで話しかけると、バッタに興味を示さなかった子どもたちが一斉に振り向いた。すると、一人の男の子が「知ってる。おじいちゃんに教えてもらった」と胸を張った。
かがみっちょは関東の一部や山梨県で呼ばれる方言。皮膚が鏡のようにテカテカ光っていることが語源だという。
トカゲと呼ばれている生きものは二種類いる。「ニホンカナヘビ」と「ニホントカゲ」。前者は尻尾が長く、触るとザラザラしている。後者はテカテカと光沢を帯びた胴体に縦じま。尻尾は前者より短い。よく見かける鮮やかなメタリックブルーの尻尾のトカゲは、ニホントカゲの幼生(子ども)である。
カナヘビの語源は、カナブンやコガネムシと同じで金属的な質感や色合いからきている。だとすると、ニホントカゲの方こそ、その名にふさわしい。そう思って調べてみると、やはり明治時代に取り違えられていた。動植物の正式和名を決定する際、テカテカのカナヘビを「ニホントカゲ」として登録してしまったことにより、ザラザラのほうがカナヘビとなった。
カガミッチョもテカテカ。つまり、カナヘビ。正式名称ニホントカゲをそう呼んでいたのだろう。「がさっかぶ(藪や植え込み)から、かがみっちょが飛び出してきたっ!」なんて言いながら昔の子どもたちも、野っぱらを駆け回っていたに違いない。
(つづく)
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