横浜開港祭スウィーツパラダイスでグランプリを受賞した 市川 幸治さん 鴨志田町「ブランフルーヴ」代表 40歳
職人魂 内に秘め
○…フルーツで形作られた季節の花や、サッカーコートを模した四角いケーキ、そして人気キャラクターで飾られたデコレーション…。店内のアルバムには、一つひとつ手がけたオーダーケーキの写真が並ぶ。「笑顔を目の当たりにできるのが、本当に嬉しい。お客さんに喜んでもらうことが、全てにつながっている」
○…パティシエの道を志したのは高校生の頃。美味しいコーヒーと一緒に、和菓子を出すカフェが好きだった。「甘いものとコーヒーの組合せが良くて。カフェをやりたかったから、ケーキが美味しいカフェってかっこいい、と思って」。卒業後、東京製菓学校に進み、全てを学んだという麻生区のケーキ店「リリエンベルグ」に20歳で就職。新人の頃は洗い物や指示を受けて雑務をこなす日々。「褒められた記憶はない」というほど、先輩に毎日怒鳴られた。「辞めたら楽だろうな」。そんな思いがよぎる一方で、ここで辞めてたまるか、という闘志も。尊敬するオーナーシェフからの「頑張っているのはわかっているからな」という言葉も、揺るぎない礎となった。
○…20年近く勤めた同店から、独立の準備を進めていたのは4年前。故郷の福島県白河市に、目標だった自分の店をオープンする予定だった。地元に根づきたい、との思いで店名を「ブランフルーヴ(白い河)」に決めた。着工の日取りも決まり、打ち合わせが全て完了したのが2011年3月10日。翌日、東日本大震災に見舞われ「全てが白紙に戻った」。話は立ち消えになったが出店への思いはさらに強まり、念願の店を鴨志田町にオープンさせたのは翌年9月のことだ。「いつかは地元に戻って貢献したい」。そんな願いも抱く。
○…妻と2人の子どもと新百合ヶ丘に暮らす。仕込みで帰宅が日付をまたぐこともあるが「家族に支えられている」と微笑む。「地域密着型の繁盛店にしたい」。柔和な表情とは対照的な、強い口調で話した。
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