ノンフィクションライターとして初めて書いた児童書が第5回児童ペン賞大賞を獲得した 城戸(きど) 久枝さん 榎が丘在住 43歳
記憶繋ぎ、明るい未来へ
○…10年以上もの歳月をかけて取材した自身の代表作を「残留孤児だった父のことを息子にも伝えたい」という思いから新たに書き起こした『じいじが迷子になっちゃった』。難解なテーマを昔話形式でわかりやすく描いた同作が児童ペン賞大賞に選ばれた。「一回出た本が違った形で評価されたというのは本当にありがたい。子どもはもちろん戦争を敬遠している大人にも最初の一歩として読んでもらえれば」
○…愛媛県出身。物語として父のエピソードを聞いて育ったというが、大学3年時に訪れた中国で初めて父が残留孤児だったことを実感。「当時のマンホールを踏んだ瞬間、今と過去が繋がったような気がして。自分は本当に何も知らなかったということを突き付けられました」。そこから芽生えた「知らねば」「書かねば」という強い思いで、ノンフィクションライターの道を歩みだす代表作『あの戦争から遠く離れて』を上梓。「戦争を体験していないので本当の辛さはわからない。それでも伝えていかなければ風化してしまうし、そのために自分がいるんだなと」
○…青葉区に移り住んだのは10年前。新居探しで駅に降り立った時に「直感でここに決めました」と笑う。趣味は9歳の息子に連れられていく絵の展覧会巡り。自分も知らなかった父の戦中エピソードを息子が聞いてきたことに対し「子どもだから難しいと思っていたけど、自分なりに考えてくれて。可能性を感じました」と母の表情に。
○…ライターとしてこれまでに戦争の記憶を次世代に繋げる本を4冊出版。一児の母として今後は児童書への思いを強くし、子ども向けのワークショップ開催などにも意欲を燃やす。「子どもが笑顔になる明るい未来へと繋がってくれれば」
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