油絵展を中区のみつい画廊で開催する 伊藤 慈(しげる)さん 恩田町在住 51歳
「その人らしさ」に魅かれ
○…昭和後期から平成までの建物を中心に描いた油絵約40点を展示する。並ぶのはラーメン店や居酒屋、団地、アパートなど。見栄えする建物ではないが、「生活の匂いがする、オーナーの生き様を感じるような」。そんな作品ばかりだ。
○…田奈小、奈良中出身で、生まれ育った恩田町に今も住む。現在は新築やリフォームを手掛けるイトウホームの代表を務めるが、大学卒業後は損保の営業マンだったことも。ただ、「集団生活が小さな頃から苦手で」と馴染めず、看板製作の仕事を経て、大工だった父の後を追った。仕事では自分の意見を押し付けず、顧客の要望に全力で応えることがこだわり。「その人らしさ」を大切にするのがモットーだ。
○…小さな頃から絵が好きで、いくつか受賞の経験もあるが、高校生頃から自然と描くことから遠ざかっていたという。ふと30歳の時にもう1度描き始めると、改めて絵が好きだと実感。以来創作を続け、知人の勧めもあって個展を開催するようになった。建物ばかりを描くのは人の営みを感じるからだが、特に魅かれるのは自分の仕事でも大切にしている「その人らしさ」がにじむ建物だという。雨天など仕事の空き時間が創作の時間だが、一心不乱に描き続けるというよりは「あれこれ邪念だらけで」描くのがスタイルだ。
○…両親と妻、娘の5人家族。今夏は個展の準備をしながら、高校生の娘の自由課題で絵の指導も。そんな時間が「うれしかった」とはにかむ。絵画以外では百名山制覇が目標。現在は44座で「死ぬまでに登りたい」と笑う。大好きな佐野ラーメンの食べ歩きに加え、いつか店構えを描きたいとも。「悔いなく、楽しく、ちゃんと生きよう」。その言葉通り、充実した毎日を過ごす。
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