港北区内で農園を経営している玉川政博さん(76)、由加子さん夫妻(日吉在住)は、「おいしい野菜」を求めて、横浜市が実施する農業従事者支援事業を使い、起業した。「たくさんの人に食べてもらいたい」と、栽培した野菜を安く販売している。
二人が経営する「浜っこ玉ちゃん農園」(高田町2350/【携帯電話】080・6668・5581)では、ホウレンソウやカブ、キャベツ、大根など、毎年およそ30種類の野菜が栽培されている。こだわりは無農薬・超低農薬栽培。除草剤も防虫剤もほとんど使わない。虫を取ったり、雑草を抜いたり、日々の世話には手間がかかるが、「そのぶん味が濃くて肉厚で、本当においしくなる」と由加子さんは力説する。中でも自慢は、トマトと枝豆。今年はズッキーニの栽培にも初挑戦したそう。さらに、肥料は栃木県からの取り寄せと、夫婦のこだわりが詰まった農園だ。
開園16年。偶然受けた不耕起栽培のセミナーをきっかけに農業に興味をもった政博さんは、37年務めた実家の卸問屋をやめて農業の道へ。「横浜チャレンジファーマー支援事業」に申し込み、2年間の研修を経て農園経営の資格を取得した。当時、政博さんが病気にかかったばかりだったこともあり、「おいしくて体にいい野菜を食べたい」と、無農薬栽培を選んだという。
栽培した野菜は、朝採りのものを毎週水曜日と土曜日に販売。予約制で、それぞれ2日前に電話かメールで収穫予定の野菜を知らせる。予約者は農園などで受け取るか、近所なら由加子さんが配って回ることも。近所の人からは「おいしい」「感激した」と評判だそう。地域の青果店に卸したり、農園前で販売したりもしている。メールで、野菜ごとの効能やおすすめレシピも配信し、「よりおいしく食べてほしい」と工夫を凝らしている。「多くの人に味わってほしい。ぜひ連絡して」と由加子さん。
農業の担い手応援
「横浜チャレンジファーマー支援事業」は、横浜市環境創造局環境活動支援センターが2005年から実施しているもの。農業の担い手不足解消のため、農家以外で人材を育成する試みで、毎年2月に参加者を公募している。1〜2年をかけて座学と実技研修を積み、審査会で合格すれば資格を得て農地を借りられる。同センターの平山実センター長によると、これまでに30人がこの事業を通して農業で起業している。「生業として農園を経営するには覚悟や責任、地域の農家となじむことも必要」と平山センター長。研修では栽培技術や季節ごとの作業だけでなく、そのような意識も培う。そのうえで、「農業を担う人が少しずつでも確実に増えてくれれば」と事業の成果に期待を見せた。
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