メディアによる子ども食堂の報道で、子どもの貧困と同時に注目された”孤食”。子どもが一人で親の帰宅を待ちながらご飯を食べることを指し、改めて子どもの居場所づくりの必要性が認識された。区内でもこのような活動が芽吹いている。
継続性第一に
「とりあえず1年間やってみようと思って」。表現の仕方はとても謙虚だが、「ここに来れば大人がいる、なにかやっているという安心感を子どもにとどけたい」という熱い思いが、赤坂厚子代表の胸の中にある。
保土ケ谷区子育て支援団体チャットが主催する「こども食堂inチャット♥カフェ」は、昨年5月5日に1回目を開催。上星川の親と子のつどいの広場「星の子」を、その日は小学生にも開放することで子ども食堂をはじめることにした。
開催日は月一回祝日などの休日の昼。祝日は学童保育もない、子どもが親しみのある保育園も休み。両親が働いている場合、子どもは一人になりがちだ。「小さいときにここに来ていた子が、そういえば星の子でなんかやっていたなと、気に留めてくれれば」と1年間続けようと決めた。利用者は遊びに来た親子を含め毎回5人程度だが、「何人来たとか人数よりも毎月やっていることが大事」と信念がある。
関心がある人も増えてきた実感もある。ある日、近所に住む男性会社員が突然訪れた。会社でこども食堂が話題になり、ネットで調べたら自宅の近くで開催していることを知り、「手伝えることがあったら」と立ち寄り、寄付を置いていったという。
「子育てサロンマップがあるように、子どもの居場所のマップもつくれたら。こうした活動には場所、資金、人が必要で、継続することが大変。月1回でも区内のどこかでやっているネットワークが作れれば」と話す。
心豊かな子に
西谷地区センターでは、2015年12月から小学生のための居場所づくりが始まった。申し込みや登録もなく、大人に見守られながら遊べる場所「あったか、にしや」は、青少年指導員、保育ボランティア、地区センで講師を務めている人などがボランティアで子どもを見守る。
子どもたちは、ゲームしたり、スポーツしたり、マンガを読んだり…。「”地区センに行ってくる”とお母さんに言って、子どもたちも気軽に来ているようです。お母さんも地区センなら安心と言ってもらえてうれしい」と橋本隆館長は話す。
ある日、「家に帰ったらお母さんがいなかった」と小さな男の子がやってきた。よく遊びに来ている子で、困ったときに浮かんだ大人の顔が職員だった。地域の居場所になっていると実感が湧いた。また昨夏には、「一人で食べるならここにおいで」とカレーを100食振る舞い、毎月最終土曜日には同じコンセプトで「あったか食堂」を行っている。
「あったか、にしや」が目指すのは子どもの心の豊かさ。「家庭や学校だけでなく、同じ地域で暮らす多世代とのふれあいを作っていきたい。子どもたちが大人になったときに、こんな大人がいたなぁと思ってもらえれば」と話す。
かたちは違えど、地域の大人が子どもを見守るのは今も昔も同じ。変わらない人情に思わずほっとする取材となった。
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