高津区などを流域とする「平瀬川」を大切にする心を次世代に受け継ごうと、市民有志で構成される「平瀬川流域まちづくり協議会」(杉田進会長)がこのほど、30余年の活動をまとめた冊子を完成させた。冊子は関係者らに配られ、これを記念したシンポジウムが1月28日(日)に開催される。
平瀬川は多摩丘陵の宮前区水沢3丁目地先に源を発し、市内中央部を北東に流下し、平瀬川支川を合流したのち高津区下作延地先で流路を北に変え、途中の津田山台地を2本のトンネルで抜け、久地地先でニヶ領本川と合流し多摩川に流入。流域面積は27・05平方キロメートル、流路7・56キロメートルに及ぶ(川崎市資料より)。
今回この「平瀬川」を大切にする心を次世代に受け継ごうと冊子を完成させた同協議会の発足は1990年。治水河川改修工事をめぐる蔵敷商店会(宮前区)の勉強会で、平瀬川中心のまちづくりが提案されたことがきっかけ。「多自然型川づくり」を実現させようと、1993年に地元自治会、青年団、PTAなどが前身の組織を立ち上げた。行政との意見交換の場を設け、川の周辺に親水公園やコミュニティ広場を作る提案を行ったほか、地元小学校の教諭らと平瀬川流域の環境や歴史を盛り込んだ地域マップを作成するなど様々な活動を行った。
活動は蔵敷地区から徐々に広がり、1998年に「平瀬川流域まちづくり協議会」が発足。現在は「子どもたちへのふる里づくり」を合言葉に約100人が所属。「さくら祭りとアユの放流会」「七夕サミット」など、地域住民を巻き込んで活動中。協議会発足を契機に、飛森(とんもり)谷戸の自然を守る会や水沢森人(もりんど)の会など、平瀬川流域を拠点とする団体も誕生した。
故人の思い継承
冊子は、市の助成金などを活用して作られた。同協議会の活動に尽力してきた猿橋脩恵さん(元副会長)と松井隆一さん(元事務局長)の相次ぐ死去を受け、昨年から広報の瀬尾為明さんらが思いを引継ぎ、これまでの会報誌や掲載された新聞記事などを織り交ぜてまとめ上げた。A4カラー・106ページ。会員や関連活動団体、向丘地区全自治会長、地元6小学校・4中学校などに約700部を配布した。
これを記念し、シンポジウム「これからの平瀬川流域の水と緑の環境整備の課題と展望」が1月28日午後1時から、JAセレサ菅生支店3階会議室で開催される。当日先着80人。参加無料。杉田会長は「子どもたちが誇りを持って語ることができるふる里づくりを継続していきたい」と話す。
![]() 冊子を手にする瀬尾さん
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