区内・溝口にある大型商業施設「マルイファミリー溝口」と「ノクティプラザ」が、ゴミの分別排出とリサイクル等を徹底して推進。今春、施設の刷新など本格的にシステムを稼働してわずか3カ月で、早くも大きな成果を挙げている。
「マルイファミリー溝口」(株式会社丸井グループ)と「ノクティプラザ」(みぞのくち新都市株式会社)は、これまでも共創で屋上緑化などに着手。昨年、国連関連組織から認定を受けるなど環境保護に向けた取組みに力を注いできたという。
「大型貯留機」を撤去
一方、市内にある他の大型商業施設と比べ、進捗が遅れていたのが、各テナント等から持ち込まれるゴミの「処理スキル」。
同所の地下にあるゴミ処理施設にはこれまで長きにわたって”何でも捨てられる”「大型貯留機」=写真矢印=があり、テナントに勤務する店員等がゴミの種類を分別することなくこの中へ投入。その結果、2018年度、ゴミの総量は減少傾向にあったものの「生ゴミ・紙屑等」のリサイクル率はわずか「3%」。これが主因となり、施設全体のリサイクル率が44%に留まるなど、課題が明確に浮き彫りとなっていた。
処理協力会社も変更
そこで両社は、一般的に良好とされる「リサイクル率80%の商業施設」を目指し処理スキルを大幅に刷新。生ゴミの減量・リサイクル化を推進するため、分別をより徹底すると共に、前出の「大型貯留機」を撤去した。
これにより各テナントは「生ゴミ」「紙屑」「ダンボール」「発泡スチロール」といった種類別に量を計測=写真右。その後、それぞれ決められ場所にゴミを持ち込むスタイルへと変更された。
また、リサイクルを得意とするゴミ処理業者と契約を結び、生ゴミから発生させたメタンガスを発電エネルギーとして再利用する流れを構築した。
名称「エコファクトリー」へ環境改善にアイデア様々
さらに、ゴミ処理施設自体の環境改善策として、スムーズな動線(レイアウト)を確保したほか、市内在住のイラストレーター、オキ・ジュンコ氏=今号「人物風土記」=協力の下、案内表示なども分かりやすくリニューアル。同氏の優しい気持ちが伝わるデザインや、温かみのある照明などで、殺風景なゴミ捨て場という印象を払拭し、名称も「エコファクトリー」とした。実際、新たに設けられた「生ゴミ分別室」は冷蔵エアコン室となっており、夏場でも悪臭が漂わないよう配慮が施されるなどゴミ処理場というよりエコを生み出す「工場」といった様相。将来的に、小学生などを招いた「エコ教育」の見学会場としての活用なども視野に入れている。
データ管理も
現在、各テナントから排出されるゴミの種類・量はデータ管理されており、毎月の店長会議の際には廃棄に関する情報等も提供。ゴミの「見える化・見せる化」が進んだ事で、リサイクル意識の向上にもつながっているという。同社では取り組みの成果を検証すると同時に「ゴミ処理に伴う費用の公平化を目指すため『従量課金制』の準備を進めていきたい」としている。
数値、劇的に改善
こうした様々なアイデアが奏功し、システムが本格的に稼働した今春以降、生ゴミのリサイクル率が「100%」に。全体のリサイクル率も76%(4〜6月実績)を記録するなど、わずか3カ月で劇的な改善を見せている。
みぞのくち新都市株式会社の管理担当者・今井泰雄課長は「今後は、避けて通れぬフードロス対策などにも力を入れていければ」と話し、同所を拠点とした次の展開にも期待を寄せている。
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