川崎市は優れた技術や技能を持ち、後継者や若手の指導に熱心な現役の職人に贈る称号「かわさきマイスター」の認定者を、今年度は4人発表した。高津区からは子母口の造園技能士・小林政春さんが認定された。
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市では1997年度から、「市内最高峰の匠」としてさまざまな職人をかわさきマイスターとして認定している。小林さんは「まだ実感がない。でも、『もうそんな年か』と思うようになった」と笑う。今年度は小林さんのほかに、プラスチック塗装やそば、洋菓子の分野の職人が認定を受けた。
樹形生かす技術
小林さんは職人歴44年。「小林植木」(子母口)の代表取締役会長を務める。樹木の特徴を熟知し、その庭に合った樹形になるように剪定を行う技術が評価された。中でも、樹木の内部まで日光が当たるようにして新芽を出やすくする剪定方法「自然匠剪定―TAKUMI―」は商標登録されている。
生まれは長崎。中学2年生の時に川崎に移り住んだ。幼いころ遊んだ自然豊かな風景が潜在的に心に残っていたせいか、自然とふれあう造園業の仕事に就いた。「人間関係で悩んでいたこともあったけど、木と向き合っているときは自分の世界に没頭できる。居心地が良かった」。30代で独立し個人組織を立ち上げたときは不安も大きかったというが、今では法人化するまでに成長した。2人の息子も父親の背中を追い、長男は社長として家業を継ぎ、次男もグループ会社を立ち上げた。
現在、同社には8人の職人が在籍。会長となった今も、現場に出ることも多く後世の育成にも余念がない。「若い子にはどんどん欲を出してもらって、成長してほしい」――。若手に思いを託しながら、真摯に樹木と向き合う。
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