地域の見守りや住民と行政をつなぐ役割を担う民生委員児童委員。中原区では市内でも高い充足率を維持しているが、人口増による定員拡大で不足が予想される。関係者は定員割れによる地域の見守り活動が薄くなるなどの危機感を募らせている。
民生委員児童委員は厚生労働大臣が委嘱する。主に町会の推薦を受けた人がなり、220〜440世帯に1人が目安となる。任期は3年。無報酬のボランティアで、川崎市では活動費として年間6万3000円が支給されている。
小杉の世帯増加が定員拡大の要因に
中原区の民生委員は、定数279人に対して7人少ない272人。充足率は97・5%で、川崎市内7区の中で最も高い(5月1日現在)。川崎市全体では、定員1724人に対して196人少ない1528人で充足率は88・6%となっている。
中原区の充足率が高い要因を中原区民生委員児童委員協議会(民児協)の冨岡茂太郎会長は「町会組織がしっかりしていて、委員の推薦に一生懸命」と地域組織の努力の賜物だと分析する。
一方で、小杉地区を中心とした人口増に伴い、2019年の改選期には民生委員の定数が大幅に増えることが予想されている。市では委員の再任年齢を75歳未満から77歳未満へ引き延ばし、活動費を増額するなど、対策をしているが、冨岡会長は今から危機感を抱いているという。
特に武蔵小杉駅周辺の高層マンション群の世帯数増による影響が大きいと見ており、冨岡会長は「小杉駅周辺エリアマネジメントに委員の推薦をしてもらえるように働きかけている。現在も委員はいるが、各マンションから委員を出すのが理想ではないか」と話す。
やりがいは「地域から頼られる」
民生委員の活動の一つである地域の見守り活動は、高齢者の孤独死などを防ぐために、「郵便受けに新聞が溜まっている」「夜になっても室内の電灯が消えない」などの身近なちょっとした変化に目を配るもの。冨岡会長は「民生委員の中でも重要な役割」と話す。また、地域住民の相談相手として医療や介護、子育ての不安などの悩みを聞き、専門の機関を紹介するつなぎ役として住民の問題解決に協力している。その他にも区内16カ所での子育てサロンの開催など活動は多岐にわたる。
委員のやりがいを冨岡会長は「悩みを解決できたときに、感謝してもらえると嬉しくて『力になってよかったな』と感じる。地域から頼りにされるのは、やりがいを感じる。そういう人が地域からたくさん出てくれるとありがたいね」と話す。
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