川崎市の民生委員・児童委員のうち70代が551人で約36%を占め、2月26日までおよそ1年で156人増えていることが分かった。市内で必要とされる定数1756人に対し、欠員は212人。進む高齢化に対し、市は若年層も含めた担い手確保に注力する考えだ。
住民相談や一人暮らし高齢者の安否確認を担う制度として、昨年で発足100周年を迎えた民生委員・児童委員。全国一斉改選が3年に1回行われ、川崎市では自治会町内会などで選んだ候補者を市長が厚生労働省に推薦し、委嘱を受ける。
市内の委員は31歳から78歳の1544人で、前回改選の2016年12月から30人増加。40〜60代の各年代で減り、70代で唯一増えた。委員確保のため市は一昨年、新任の年齢要件を72歳未満から75歳未満、再任は75歳未満から77歳未満に引き上げており、高齢化を進行させる一因に。市地域福祉課では「若い人にも関心を持ってもらいたい。PTA協議会への依頼や市職員向け退職セミナーでの周知など、幅広い世代に呼びかけていく」と方針を示す。
広がる定数との差
市は「220人以上440人以下の世帯に1人」という国の基準のもと、半年先の推計世帯数を440人で割り、半年ごとに定数を算出する。前回改選で1724人だった定数は、人口増加に伴い32人増えた。市は委嘱者推薦の場を年3回設けており、今年度は7月と1月、今月に実施。委員を増やす一方、欠員にあたる定数との差は広がりつつある。同課は「委員の増員が市内の世帯数増に追いついていない」と指摘する。
委員は任期3年のボランティアで、川崎市では活動費として1人あたり年間6万3千円支給される。一部は老人会の会食や広報誌など市民生委員児童委員協議会の事業費に充てられるが、資金不足が課題という。
委員を約25年続ける、同協議会の冨岡茂太郎会長(75)は「委員が増えないと、現存メンバーが仕事を負担せざるを得ないが、仲間との人間関係など長年続けているとやりがいも大きい」と手応えを語る。同課は「活動の環境整備に向けて、今後も効果的な研修と広報に取り組む」としている。
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