大規模災害等で家庭の水道が使えなくなった際に開設される応急給水拠点。川崎市は、小中学校の既設の水飲み場を活用した「開設不要型」の拠点の整備を2014年度に開始し、5年間で53校の整備を終えた。23年度までに全166校の整備完了を目指す。
災害時、蛇口ひねるだけ
小中学校の開設不要型応急給水拠点は、校庭等にある屋外の水飲み場の給水管を耐震性のあるものに改良。常時は普段通り水飲み場として利用し、有事には避難所利用者の飲料水として活用できる。従来の組み立て式の給水拠点では職員らの手が必要になるが、開設不要型は蛇口をひねるだけで利用可能。校舎など建物の給水設備からは分離しているため、建物が損傷しても影響がない。
整備は供給ルートの耐震化が完了した学校から順次行い、昨年度は東住吉小など12校で実施。開設が必要なものも含めた市内の応急給水拠点は、計195カ所になった。
11年の東日本大震災では、約257万戸が断水。厚労省によると、応急給水のために延べ約1万4千台の給水車、4万人の作業員が支援活動を行ったという。しかし、職員が電話対応に追われたり、応援に来た給水車を案内する人手の余裕がなかったりと、初動期の人員確保が課題として浮き彫りになった。
川崎市は学校のほか、市内の配水池・配水塔でも開設不要型拠点の整備を進めている。「職員が開設する拠点は時間がかかる。市民にいち早く水が届くよう整備していく」と市担当者。拠点の場所は市上下水道局のウェブサイトで確認できる。
全国の基幹的な水道管の耐震化率は、平均で39・3%(18年3月時点)。一方、川崎市はおよそ9割に上り、避難所等への供給ルートとなる重要管路の整備も22年度には完了する見込みだ。今年1月には、首都直下地震を想定した全国の大都市との合同訓練を初開催するなど、災害対策に努めている。市担当者は「今後も他都市と連携し、過去の震災で明らかになっている新たな課題に取り組んでいく」と話している。
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