川崎市内の2019年の救急出動件数が7万5513件に上り、前年比2659件増で11年連続の過去最多となった。平成元年(3万420件)から令和元年まで、30年でおよそ2・5倍に。高齢化が進展し、人口増の比率以上に救急の需要が高まり続けている。
昨年の1日平均の出動件数は206・9件で、約6分58秒に1件の割合で出動。搬送人数は6万5128人(前年比1365人増)で、市民の約23人に1人を搬送したことになる。平成元年の搬送人数は3万人に満たず、市民の約40人に1人だった。年齢別では65歳以上の高齢者が55・2%(前年比0・6ポイント増)。10年前に比べ約1・6倍増えている。
一方、搬送人数のうち入院を必要としない「軽症者」は昨年より540人減少し、3万4581人。全体の53・1%で、割合は年々低下傾向にある。市消防局担当者は「救急車の適正利用については一定の理解が進んでいるものの、高齢化とともに出動要請は増えていく。高齢者施設に対しては、利用者の症状が悪化する前にかかりつけ医に診てもらうよう呼びかけている」と話す。
今春 増隊で強化
市内に配置されている救急隊は、平成元年時点で18隊。出動件数の増加に伴い20年前から増隊を続け、現在は28隊で出動要請に応えている。
今年4月には、現在改築中の宿河原出張所(多摩区)に救急車1台が新たに配置され、合計29隊になる。市消防局では増隊に加え、救急隊の出動範囲を柔軟に動かすなど他の対応も実施。救急隊の現場到着時間の短縮を図っていく。
市の代表会場として1月9日に開催された多摩区消防出初式で、福田紀彦市長は「増加する救急需要への対応として増隊。消防力の総合的な強化に取り組んでいく」と強調。市消防局の原悟志局長は「昨年は登戸刺傷事件で市内初の大規模救急事案が発生。東京五輪に向けても対応力を強める必要がある」とし、「出動件数増加は高齢化が大きな要因。早めの医療機関の利用等、市民に啓発したい」と語った。
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