日本文学研究の第一人者として知られるコロンビア大学名誉教授のドナルド・キーンさん(89)が先月29日、鎌倉世界遺産登録推進協議会主催のイベントで鎌倉を訪れ、世界遺産登録などについて自身の考えを語った。
第2部のシンポジウム「武家の古都・鎌倉」でキーンさんは、世界遺産に値する魅力ある街かどうかの質問に対して、「鎌倉は歴史・宗教などにおいても、その価値は充分にある」と評価した。一方で、大勢の人が訪れることで「下品な人もいる」と直接的な表現で語り、過度の観光化による「鎌倉らしさ」の喪失に懸念を示した。
また、世界遺産登録が決定した岩手県の平泉に続く鎌倉の挑戦について意見を求められると、「安っぽくなってしまうことだけは避けて欲しい」と話した。
最後に鎌倉市民へのメッセージとして「鎌倉に住めることは幸せなことです」と、笑顔で語り会場を後にした。
同シンポジウムには、キーンさんのほかにパネリストとして、元東京大学教授で以前にキーンさんを鎌倉案内した経験をもつ富士川義之さんと、鎌倉ユネスコ協会会長で鎌倉大仏殿高徳院の佐藤美智子さんが参加。コーディネーターを元読売新聞社編集委員で鎌倉ペンクラブ会員の高木規矩郎さんが務めた。
議論の中で佐藤さんは、アフガニスタンのバーミアン遺跡破壊にふれ、「遺跡への理解がないからこそ起きてしまった」と語り、「一番いけないのは知識がないこと」と指摘。鎌倉の世界遺産登録については、その可否より遺跡を後世に残そうという「意気込みが一番大切」と話した。富士川さんは、「市民の皆さんが持つ『アメニティー(快適さ)』を壊すようなことがあるなら、よくない」と登録推進の取り組みについて語った。
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